名前
(二年生くらい)
「こっちが従兄弟の謙也」
「ども」
「そんでこっちが部長の跡部」
「………」
何も言わずじっと俺を見詰める侑士の学校の部長さんを苦手だと感じた。それが第一印象。
氷帝との合同練習は何度かしたことはあるが、この部長さんは部長同士ヒラゼンや白石としか話さなかったからほぼこれが初対面である。
「……跡部?どないしたん」
気をきかせてくれたのか侑士が部長さんの方を見て尋ねる。そこで初めて部長さんの視線は俺から外れた。
「いや…、あまり似てねぇな」
「まぁ従兄弟やしなぁ」
また此方に目線をやると少し目を細め、唇が弧を描いた。
そこでやっぱり綺麗な顔をしていると再確認した。
「忍足謙也」
「謙也でええで」
「なら謙也、これからよろしくな」
「こちらこそ、侑士を含めよろしゅうお願いします」
「オイコラどういうこっちゃ」
「まぁ、間違ってはいねーな」
話してみると意外とノリもよく、いい奴そうだ。
軽く笑うと同時に遠くから白石の声が聞こえた。そろそろ部活を始めるとのこと。
「ほな行くか!」
謙也はそう言うとコートへ走り出した。自称スピードスターの名は伊達ではないようだ。
忍足は隣で俺の歩調に合わせながら歩く。
「謙也、か…結構おもしろそうな奴じゃねーの」
「……」
「一度謙也と試合してみたいもんだ」
「……………」
「お前と謙也、どっちが強いんだろうな。なぁ、忍足」
「……………………………跡部、自分わざとやっとるやろ」
少し弾んだ声で言うと横目で此方を見る気配がした。
今、どんな顔をしているのかが簡単に想像でき、奴お得意のポーカーフェイスが崩れているのかと思うと笑いが込み上げてくる。
「…すねんなよ」
「アホ、すねとらんわ」
「どーだか」
ゆっくりと歩みを進めながらいつものように鼻で軽く笑った。
人を小馬鹿にしたような笑い方は跡部の癖のようなものだ。実際に馬鹿にしているのがほとんどだから癖と言うのかは微妙だが、時々、嬉しそうなときにもこの笑い方をする。
…今のは………
「それよりさっさと行くか。そろそろ白石が時間の無駄だって言いに来るぜ」
「…侑士」
考えんでも、分かることやな…
※※※※※
謙也さんと忍跡の二人を絡ませたかったんです。全然絡んでる感じがしないけど…。
小馬鹿にしたような笑い方は照れ隠しだと可愛いなという妄想。
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