[忍跡]2012.10.04
社会人設定
跡部は普通に結婚してます
オリキャラ注意です
〜〜♪〜〜♪
ピッ
「…もしもし」
「よぉ〜跡部〜久しぶりやな」
「何の様だ、下らねぇことだったら切る」
「酷いわぁ…久しぶりに話すっちゅうのに連れんやっちゃ〜」
「変に語尾を伸ばすな。テメェ、酔っぱらってんのか?」
「ビールちぃと飲んだだけやでぇ?酔うわけないやんかぁ」
はははっと陽気に笑う忍足に若干の苛立ちを感じ、ケータイを強く握り締める。此方は忙しい。酔っ払いの相手をしている暇はなかった。
「切る」
「あぁぁぁあ!待て待て待て!!分かった、ちゃんと言うから!」
「ギャーギャー騒ぐな。で、何だよ」
「月!月見てみぃ、むっちゃ綺麗やで〜」
「切る」
ブツリとボタンを勢いよく押した。ほとんどノリで押したようなものだったがあれ以上話していてもどうせ時間を無駄にしただけだろう。切って正解だ。
そう思いまた仕事に戻ろうと机につくが先程の言葉が離れない。
腐れ縁と言う程一緒にいたわけではないが中高を共にし、大人になっても本当に時々だが連絡を取り合う仲だ。きっと久々に声を聴いて懐かしい思い出が蘇り、情が移ったのだろう。
溜め息を吐き、立ち上がると大きな窓から空を見上げる。
そこには忍足の言った通り月が輝いている。しかもその月は普段見ている月よりも確実に明るく、綺麗な光を放っていた。
〜〜♪〜〜♪
ピッ
「…何だよ」
「綺麗やったやろ?」
「見てる前提で聞くな」
「え、まだ見てへんの?」
「…しょうがねぇから見てやったぜ。まぁ、綺麗な方なんじゃねぇの?」
「普通に綺麗やったって言えばええやん、ツンデレやなぁ」
「また切るぞ」
「それはアカン」
即答され溜め息がでる。
これだから酔っ払いの相手は御免なんだ。忍足だとなお鬱陶しい。
「で?」
「?」
「わざわざ電話までしてきて本当は何が言いたい」
「え?普通に跡部にこの景色を見せたかっただけやけど?」
「………切るな」
「んー、よし!もうええで!」
…え?
「はぁ?」
「じゃあなぁ〜跡部。おめでとさん」
プツン……プー…プー…
電話は切る前に切られ機械音だけが耳に届く。余りにも急で、月を見たまま茫然と立ち尽くした。
「……はぁ?何だあいつ!この酔っぱらい!おめでとう!?意味わかんねぇ!」
後から来た苛立ちを繋がっていないケータイに向かってぶつける。
本当に時間の無駄だったようだ。
〜〜♪〜ピッ!!
「テメェ!さっきはどういう…」
「えっ…」
「ん…?」
またも鳴り出したケータイに誰からかかってきたかなんて見ずに速攻でさっきまでと同じように怒りをぶつけると忍足とは違う、高くて可愛らしい声が聞こえてくる。
「あの、御免なさいこんな時間に。忙しかったですよね、スイマセン!」
その声は数年前に結婚して妻となった相手の声だった。
泣きそうな声で今すぐに電話を切ろうとする相手を急いで止めて弁解する。誤解が解け、安心したような声を出した相手に此方も一安心した。
「で、どうかしたのか?」
忍足の相手をしている時とは全く違う優しい声を出す。
「あの………お誕生日おめでとうございます」
「えっ…」
「日付が変わったらスグに言おうと思ってたんですが、電話中だった様なんで少し過ぎてしまいましたけど…それでも早く言いたかったんです」
言えて良かったと柔らかい声で話す妻に驚きで何も言えなかった。
まず、今日が誕生日だということも忘れていて、それをこんな時間にわざわざ言ってくれて、そして……
ーーーーおめでとさん
「…………」
「あの…景吾さん?」
「ありがとう、嬉しいよ。今日はもう帰ることにする」
「あっ!!じゃあご飯を温めておきますね」
「あぁ、ありがとう」
ピッ
「………………………………………………………ハァー」
深い溜め息を吐き、眉間に皺を寄せ、口に手をあてる。
「あの野郎…」
今も昔も変わらず何を考えているのか分からない友人の行動に口許が緩むのを抑えることが出来ず、数分間、月に照らされた状態で立ち尽くした。
※※※※※
最近は月が綺麗だなぁ、って思って書きました。
夏は星もあってそれはそれで綺麗だけど、この頃は月の輝きが半端じゃない。
そして跡部さまハピバ
※※※※※
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