第二章「輝夜の気持ち」


・自室

鳥の鳴き声がする

那智M「結局輝夜の正体は分からないままで、ただこいつの我侭で訳の分からない言い分を聞きながら過ごしている…。体を洗えだとか、早く帰って来いとか、マッサージしろとか!慣れたとは言いたくないけどこんなのはもう我慢できる!ただ一番嫌なのは──」

那智 「かぐ、や……っ…もう、やめっ……」
輝夜 「何故だ?して欲しそうにすがり付いてきたのは那智だろう?」

那智、布団の中で後ろから輝夜に抱かれ扱かれている

那智M「こいつのセクハラだッ!!」

那智 「それはっ……」
輝夜 「んー?なんだ」
那智 「寝ぼけて…んっ……ただけ……っ」
輝夜 「そうか、那智はここを固くさせるような夢をみていたのか。どんな夢だった?言ってみろ」
那智 「ちがっ……そ、じゃなくて…んぅ……朝だからぁっ…」
輝夜 「そうでは無いならどうして私に抱きついてこれを私の足に擦り付けてくるのだ?」

輝夜、喉で笑う

那智 「あっ……かぐやっ……ちがう、からっ……うしろの…やめっ……擦らないでっ」

輝夜、那智の尻に沿って擦り付けている

輝夜 「そなたも意地が悪いな。自分だけ気持ちよくなろうというのか?」
那智 「ちがっう……んっ…やだ……」
輝夜 「嫌ではないだろう?素直にもっとと言え」

手を早める輝夜

那智 「あっ!や、やだっ……かぐや…やめ……っ…ほんとに……」
輝夜 「こっちはやめて欲しくなさそうだがな。震えて泣いてるぞ。もっとと…」

輝夜、那智の耳元で囁きながら耳に息を吹きかける

那智 「っ……んあっ…やだっ、かぐ、やっ……おれ…もうっ」
輝夜 「もう?なんだ?」
那智 「でちゃ、っ……でちゃう…っ……」
輝夜 「どうして欲しい」
那智 「あっ、やっ……かぐやっ…」
輝夜 「言え。那智。私にどうして欲しいのだ」
那智 「んぁっ…か、ぐやっ……もっとっ……」
輝夜 「ふっ」
那智 「もっとしてっ……かぐやっ…」
輝夜 「いい子だ」

輝夜、首筋にキスをすると
那智を扱く手を早める

那智 「あっ、やっ……かぐやっ…イくっ…あぁっ──!」
輝夜 「っ…!」

輝夜、同時に果てる

那智 「はっ……はぁっ……はぁ…」
輝夜 「ふふっ、可愛いな」

輝夜、那智を抱きしめる

那智 「や、やめろっ…はな、れろよ……」

顔を真っ赤にしている那智

母  「那智ー?起きてるのー?」
那智 「なっ!!」

母、突然ドアを開ける

母  「あら、まだベッドにいるの?遅刻するわよ。輝夜くんも、ご飯できてるわよー」
那智 「わ、分かったからっ!!」
輝夜 「すぐ行きます」

輝夜、微笑む

母  「仲いいわねぇー」

母、笑いながら出て行く

那智 「最悪だぁぁぁああああああ!!」



・教室

委員長「大木!」
那智 「はっ!な、何!?」

那智、教室の前に立って台本を持っている

委員長「次、翁だよ。お前ぼーっとしてんなよなぁ。ちゃんと台詞覚えられんのかぁ?」

委員長、呆れる

那智 「あ、あぁ…えーっと、どこだっけ?」
達弘 「かぐや姫、どうしてそんなに泣いているんだい?から」
那智 「ありがと。えーっと、『かぐや姫、どうしてそんなに泣いているんだい?』」

那智M「泣きたいのはこっちなんだけどな…」

委員長「申し上げなければなかったことがあるのです…」

フェード



・帰り道

那智、達弘と二人で歩いている

達弘 「お前大丈夫か?最近よくぼーっとしてるよな」
那智 「い、いや…大丈夫というかなんというか…」
達弘 「そんなにきついのか?輝夜のこと…」
那智 「うーん。慣れたといえば慣れたんだけど。っつーか、あいつの正体って何だと思う?」
達弘 「正体?うーん。まぁかぐや姫だろ?」
那智 「そうなんだけどさ。この間台本読ませちゃったんだよ」
達弘 「え!?それで…輝夜は?」
那智 「かぐや姫の気持ちがわからないって」
達弘 「なんだそれ?」
那智 「なんともない顔してんだよ。なんなんだろな、あいつって……」

那智、空を見上げると青い月が出ている
那智を見て達弘も月を見る

達弘 「かぐや…姫…じゃないのか…?」
那智 「……」



・玄関

輝夜 「那智、そなた最近帰りが遅いぞ」

朝、玄関まで那智を送りに来ている輝夜

那智 「仕方ないだろ、文化祭の準備で残らなきゃいけないんだから」
輝夜 「私のことはどうでもいいと言うのか」
那智 「はぁ?」
輝夜 「あの眼鏡と一緒にいるのがそんなに楽しいか」
那智 「何言ってんだよ。文化祭と達弘は関係ないだろー?まぁ、達弘も同じクラスだから関係あるっちゃあるけどさ」
輝夜 「……」

拗ねている輝夜

那智 「なんだよー?」
輝夜 「なんでもない。さっさと行け」

輝夜、そっぽを向いて家の奥へ行ってしまう

那智 「輝夜ー?」



・教室

授業中、机に突っ伏して眠っている那智
達弘、後ろからそれを見てため息を吐く



・リビング

リビングでテレビを見ながら洗濯物を畳んでいる母
そこへ輝夜が来る

輝夜 「母上」
母  「あれ、輝夜くん。どうしたの?」

輝夜、母の前に座る

輝夜 「どうすれば那智は帰ってくるでしょうか?」
母  「えー?うーんと、まぁ学校が終わらないと帰って来れないわねぇ」
輝夜 「それは分かっています。その後、すぐに帰ってくる様にはどうすればいいでしょうか?」
母  「あの子今文化祭の準備してるって言ってたけど…。うーん、そうねぇ」
輝夜 「何かありますか?」
母  「那智が喜ぶようなことをしてあげるとか!」

母、微笑んでいる

輝夜 「喜ぶ…?」

小首を傾げる輝夜

母  「ホラ、言うじゃない?旦那様が家に帰って来たくなるのはご飯が美味しいからーとか!」
輝夜 「旦那…様…?」
母  「あ、でも那智は旦那様じゃないわねぇ。それに私のご飯が美味しくないってことに…」
輝夜 「母上!」

輝夜、母の手を取る

母  「?」
輝夜 「私に料理を教えていただけませんでしょうか?」
母  「え、えぇ…いいけど…」

輝夜、笑っている



・キッチン

ポニーテールでエプロンをして一生懸命ハンバーグを作っている輝夜
母が隣で手伝っている

母  「那智は昔からハンバーグが大好きだったのよ。きっと喜ぶわ」
輝夜 「よっ、と……」

輝夜、楽しそうにしている



・玄関

玄関の隅に座って那智が帰ってくるのを待っている輝夜



・キッチン(回想)

輝夜 「出来たっ」

皿の上に歪な形でちょっと焦げたハンバーグが乗っている

母  「ま、まぁ、見た目より味よっ!」
輝夜 「那智は喜んでくれるでしょうか?」
母  「えぇ!絶対っ。ね?」

輝夜、母と笑い合う



・玄関

母  「輝夜くーん。そんなとこいないでこっちで待ってたら?」

まだ玄関に座っている輝夜

輝夜 「……」
母  「もうすぐ帰ってくるわよ」

輝夜、立ち上がる

輝夜 「迎えに行ってきます」

輝夜、言うと出て行く

母  「輝夜くん?」



・帰り道

もう暗くなってきている
那智と達弘二人で歩いている

達弘 「随分遅くなっちゃったなぁ」
那智 「委員長スパルタなんだもん。根詰めすぎ。っつーかなんで委員長がかぐや姫…?」
達弘 「はははっ、確かに。あ、そうだ。衣装さ、いくつか候補出たんだけど見にこねぇ?」
那智 「マジで?じゃ──」

輝夜 『那智、そなた最近帰りが遅いぞ』
輝夜 『私のことはどうでもいいと言うのか』

達弘 「那智?」
那智 「あ、いや。なんか朝拗ねてて……」
達弘 「?あ、輝夜だ」

達弘、前から歩いてくる輝夜を見つける

那智 「輝夜」

輝夜、那智と達弘を見ると少し苛立った表情をする

輝夜 「何をしていたのだ。こんなに遅くまで」
那智 「何って、文化祭の準備だって言っただろ?それになんだよ親みたいな─」
輝夜 「そんなにこいつと一緒にいるのが楽しいか!」
那智 「輝夜…?」
輝夜 「那智、こんな奴のどこがいいと言うのだ」
那智 「なっ!お前なぁ、何怒ってるか知らないけどどうしてお前にそんなこと言われなきゃなんないんだよ!達弘は俺の大事な友達なんだ!」
輝夜 「また…友達か……。そんなに大事かこいつが!そんなに好きなのか!」
那智 「あぁ!好きだよ!友達だからな!お前の我侭聞く為に帰るよか達弘と一緒にいる方がよっぽど楽しいんだよ!」
輝夜 「っ……」

輝夜、グッと拳を握る

達弘 「おい、那智…」

達弘の声に那智、輝夜を無視して行こうとする

那智 「達弘、行こうぜ。衣装、見せてくれるんだろ?」

輝夜が那智の腕を掴む

輝夜 「待てっ!そんなにこいつがいいのか?私よりも」
那智 「放せよっ!そうだって言ってるだろ!」
輝夜 「こいつはそなたを満足させられるのか?」
那智 「なっ!」

輝夜、真剣な顔をしている

輝夜 「あんなに可愛い声で啼かせられ──」

最後まで言い切る前に那智が輝夜の頬を叩く

達弘 「那智っ」
那智 「最低だ……」

那智、声を震わせている

那智 「お前最低だッ!もう帰ってくんな!お前なんか」

輝夜、那智を見る

那智 「さっさと月に帰っちまえッ!!」

那智、走っていく

達弘 「那智ッ!!」

達弘、那智を追いかける
が、一瞬振り返って輝夜を見る

輝夜 「……」

達弘、那智を追う

輝夜 「……」

輝夜、叩かれた頬に触れる
月が出ている



・住宅街

走っている那智、それを後ろから追いついて捕まえる達弘

達弘 「那智っ!」

立ち止まる那智
息を切らしている達弘

達弘 「おい、那智あれじゃ…」
那智 「…っ…ぅぅ…」

泣いている那智

達弘 「那智……」
那智 「最悪だ……あんなの…俺…」
達弘 「……」
那智 「……ぅっ…俺、あいつのこと嫌いだったけど……嫌いじゃなかったのに…っ…」
達弘 「…、とりあえず俺んち来いよ。な?泣くな」

達弘、那智の頭を撫でる

那智 「っぅ……ぅぅ」



・達弘宅

那智、達弘、座っている
那智、相変わらず泣いている

達弘 「なぁ、那智、輝夜に無理やりやられたりしたのか?それだったら俺」

那智、首を振る

那智 「無理やりだけど……無理やりじゃなかった……」
達弘 「……」
那智 「でも……あんなの最低だ……」
達弘 「……那智」

達弘、那智の頭を撫でる

達弘 「輝夜が俺に対してどうしてあぁいう態度取るか分かるか?」
那智 「わかんねぇよ…だから……」
達弘 「あいつ俺にやきもち妬いてんじゃないかな」
那智 「え…?」
達弘 「あいつがばあちゃんちに着物取りに来た日もそうだったじゃん。那智は気づいてなかったかもしれないけど、俺から那智奪おうと必死になってた」
那智 「ほんとに?」
達弘 「うん。まぁ俺もここで引き下がるのはちょーっと嫌なんだけど。あいつまだ生まれて一月も経ってないからな。ここはあいつに譲るよ」
那智 「達弘…?」
達弘 「輝夜も悪いよ。でも那智もあそこまで言わなくてよかったんじゃない?」

那智 『さっさと月に帰っちまえッ!!』

那智 「……」

那智、俯く

達弘 「あいつがそうなるか分からないよ。でも今は那智しか拠り所ないんだぜ?」
那智 「でも……」
達弘 「ホントに帰っちゃったらどうすんだよ。このまま、喧嘩したまま」
那智 「……」
達弘 「嫌じゃない?」
那智 「…嫌だ…」

那智、また泣き出す

達弘 「な」

達弘、微笑んで頭を撫でる



・玄関

帰ってくる那智

那智 「ただいま…」

小さい声で呟くとリビングから母が出てくる

母  「あら、輝夜くんと会わなかった?那智を迎えに行くって言ってたんだけど…」
那智 「……帰って来てないの?」
母  「えぇ。すれ違っちゃったのかしらね?」
那智 「……」

那智、ふと匂ってくる匂いを嗅ぐ

那智 「ハンバーグ?」
母  「さすが!当たりッ!しかも今日のは特別よ〜」



・リビング

那智の席に置かれている歪な形の少し焦げたハンバーグ

那智 「これ……」
母  「ふふっ、輝夜くんがね。あなたを喜ばせてあげたいって。一生懸命作ったのよ?まぁ、見た目はちょっとあれだけど、味はすっごく美味しいんだからッ」
那智 「輝夜…が…?」
母  「えぇ。早く帰って来ないかなってずっと待ってたのよー?」

輝夜 『何をしていたんだ。こんなに遅くまで』

那智 「あいつ…これ見せたくて…」
母  「那智?」

那智、リビングを飛び出す



・玄関

母  「那智!どこ行くの!?」
那智 「探してくる!」

玄関を飛び出す那智

母  「なっちゃん!?」



・公園

那智、走って草むらなどを探している

那智M「あいつが行きそうなとこなんか知らねぇよ!一人じゃ何にもできないくせに!」

那智 「おい!輝夜!」



・住宅街

走っている那智

那智 「輝夜!どこだよ!」

那智M「俺の言うことなんか一つも聞かなかったくせに、なんでこれだけは聞いちゃうんだよ!」



・学校

閉まっている門から中を見るが真っ暗

那智M「あんなの本心じゃないのに!」

那智 「どこ…行っちゃったんだ……」

那智、空を見上げると月が出ている

那智 「まさかほんとに帰ったのか……?」

風が吹く
すると遠くから竹の葉が擦れる音が聞こえてくる

那智 「竹やぶ…!」

那智、走っていく



・竹やぶ

真っ暗な中を進んでいく那智

那智 「おーい!輝夜ー!いるなら返事しろよー!」

那智、辺りを見回しながら歩くがほんの少し先しか見えない

那智 「……返事しろよ!怖いじゃねぇか!」

叫ぶ那智
しかし何も反応がない

那智 「くそっ……ホントにどこ行っちゃったんだ……」

那智、空を見上げる
月が竹の間から見えている

那智 「やだよ……謝るから……出て来いよ…帰って来いよ……」

那智、涙目になるが、もう一度前を見て歩き出す

那智 「輝夜ー!おーい!出て来いよ!」



・竹やぶ

しばらく歩いているとふと広いところに出る
そこには月明かりが差していて少し明るい

那智 「輝夜……」

その真ん中に、輝夜が座っている
傍には切れた竹があって、それに寄りかかっている

那智 「輝夜ッ!」

駆け寄る那智

輝夜 「那智っ……入るな!!」

叫ぶ輝夜に驚いて一メートルほど手前で止まる

輝夜 「そこから入るなよ。…空中は無しだ……」

拗ねて言う輝夜

那智 「こんの馬鹿野郎ッ!」

言いながらズカズカ入っていく那智

輝夜 「なっ!入るなと言っているだろう!ここは私の新たな家だっ!」
那智 「よかった……」

那智、言いながら輝夜を抱きしめる

輝夜 「那智……?」

驚いている輝夜

那智 「ほんとに月に帰ったかと思った……」
輝夜 「ど、どうして私が月に帰らなければならないのだ…」
那智 「だってお前竹から生まれたじゃねぇか」
輝夜 「そうだがっ!それはあの物語の中の話であろう!私はかぐや姫ではないっ!」
那智 「え…?」

那智、輝夜から離れる

輝夜 「なんだか知らぬが、私は月になど帰らん。私が帰れる場所はもうここしかない。だから今日からここが私の家なのだ。この不法侵入者め」

輝夜、ぷいっとそっぽを向く
それを見て笑う那智

那智 「はははっ、分かったよ。ホラ、立って」

那智、立ち上がると手を差し出す

輝夜 「ん?」
那智 「帰ろう?こんなとこじゃ新しいお供も来てくれないぞ?」
輝夜 「……」

輝夜、悔しげな顔をする

那智 「輝夜。ハンバーグ、食うんだろ?」
輝夜 「なっ!どうしてそれを!?」
那智 「母さんが教えてくれた。俺の為に作ってくれたんだよな?あの焦げたハンバーグ」
輝夜 「そ、そうだ。主人が作ってやったのだ。心して食うがよい」
那智 「なんだよそれ…。まぁいいや。ホラ、立って」

輝夜、那智の手をしぶしぶ掴むと立ち上がる
そのまま手を引いて歩いていく那智

輝夜 「……」
那智 「ごめんな」
輝夜 「え…?」
那智 「お前も悪いけど、俺もあそこまで言わなくてよかったよな。ごめん」
輝夜 「……」

輝夜、俯く

輝夜 「わ、私の方こそ……すまない…」
那智 「ふふっ」
輝夜 「何がいけなかったのかわからないが」
那智 「はぁっ!?」

那智、咄嗟に振り返る

輝夜 「?」
那智 「お前なぁ……」

那智、呆れるとまた前を向いて歩き出す

輝夜 「那智」
那智 「なに」
輝夜 「あの眼鏡が好きか」
那智 「なんだよ。またその話?」
輝夜 「……好きなのか?」
那智 「好きだって言ってるだろ?何度目だよこの話。友達だって言ってるのに」
輝夜 「そうか……」
那智 「はぁ……」
輝夜 「私はそなたがあの眼鏡を好きだと言う度に何か嫌な気持ちになる」
那智 「なっ」
輝夜 「始めはお供の者が私以外に気をそらされているのが腹立たしいんだと思っていたのだ」
那智 「……」
輝夜 「しかし今ではそういう気持ちではない様な気がする。那智が喜んでいる顔が見たいと思うのだ。そなたが私の傍に居てくれるのが嬉しい。少しでも長くそなたと一緒にいたい」
那智 「〜〜〜〜っ」
輝夜 「なぁ、那智。これはそなたが好きだということか?」
那智 「しっ知るか!!」

那智、顔を真っ赤にして耳まで赤い

輝夜 「そなたを今後ろから抱きしめたいと思う気持ちはそうではないのか?」
那智 「だから知ら──!」

那智、振り返ると共に輝夜が手を引き寄せてキスをする

輝夜 「きっとそうだ。私はそなたを愛している」
那智 「っ!」

那智、踵を返してスタスタ歩いていく

輝夜 「那智!?」

追いかける輝夜

那智 「お、俺のこと好きだって言うんなら俺の嫌がることするなよッ!!」
輝夜 「嫌がる?何を嫌がるんだ?」
那智 「セクハラだセクハラ!!」
輝夜 「セク…ハラ…?」
那智 「あーもう!!クソッ!このバカグヤ!!」
輝夜 「なっ!私の名前をそのようなものとくっつけるでない!」
那智 「バーカバーカ!バカグヤ!」
輝夜 「主人に対してそのような態度……覚えておくがよい」
那智 「なっ!どういう意味だ!!」
輝夜 「ふっ。ほら、帰るのだろう?」

微笑む輝夜

那智 「お、お前の作った変な形のハンバーグ食ってやらないとまた家出するだろうからな!」

那智、そっぽを向く
その顔を見てまた笑う輝夜



・リビング

輝夜 「どうだ、美味いだろう」

輝夜、自信満々で問う
歪なハンバーグを食べている那智

那智 「うーん、まぁ初めてにしては美味いんじゃねー?」
母  「あら、嫌な子ね。素直に美味しいっていいなさいな」
輝夜 「そうだぞ」

輝夜、拗ねている

那智 「はいはい。美味い美味い」

那智、言いながらも全部食べる





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