白翼長編 | ナノ







「カンナ、心配したのよ。パパがせめて15歳までは迎えに行っちゃ駄目って言うから手紙も出せないし、でも貴女は女の子だから心配で心配で、しかも協会なんかに拾われたなんて最初はビックリ!野蛮な人が多いから変な虫がつかないかしらなんて、貴女は大事な長女でしょう?」






帰って来た途端の機関銃(マシンガン)トーク。キキョウお母さんの高い声は私の意思を掻き消すようで落ち着いた。『大事な』という部分だけで十分だったのかも知れないけれど





「ああでもいいのよ!こうやって自分の足で帰って来てくれたんだから。まさか途中でイルミに会うなんて。昔から貴女達は特別仲が良かったわよね。本当三年で見違える程に女の子らしくなったわ!もう一人前の女性ね!」







緊張は止まない

私の隣に立っているイル兄。何故私が協会に拾われた事を知っているのか、ましてや何故イル兄は協会の飛行船に乗り込むなんて危険な事をしたんだろう。私はこれから何をすれば良いのか。全てが謎に満ちていた






「母さん、早く父さんに会わせた方が良いんじゃない?」

「あらいけない、カンナが帰って来たらパパに会わすのが約束だったわ!」






怒られたらどうしよう。お父さんに怒られた事はないけれど、15になるまで迎えに来ることを止めたって事は……。






『じゃあ、行ってきます』






嗚呼、笑えない

一応礼をしてお父さんの部屋まで歩くけど背筋にゾクゾクと悪寒が走る。三年振りの再開に私はどんな顔で父親に接すればいいのだろうか。多分何時ものように、うつ向いてばかりだろうけど




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