ごみばこ | ナノ




書類を少し乱暴に机に置く。置く、というよりも投げる、のほうが正しい表現なのかもしれない。クロロは自分のことなのにも関わらず、自分は今日どうするかと、思った。

もう日付が変わった時計を、すぐにホテルに戻ろうと車のキーを手に取るが、すぐに戻りたいと思う裏腹に、少し迷っていた。ここ数日、元気のない恋人になんて声を掛けようか。何日もたった一言のセリフを探している。

今晩も帰れなくなったが、今日がクリスマスだったということも忘れてしまっていた。時差に躍らせれていたのだろう。もともと朝も昼も関係のない職業だ。今日が何日なのかも時折わからないような環境の中で、今日がこの国でのイヴだと知らなかった。

クリスマスの予定について、なぜアンナはなにもいわなかったのだろう。いや、何度か話を投げかけられた時があった。もしかしたら、あの時に言おうとしていたのかもしれない。



「――――帰らないの?」



返事をせずに、手に取ったキーをシャルナークに渡す。運転する気にはなれなかった。



「・・・荒れてるね」

「表には出してないつもりだがな」

「ったく、何年の付き合いだと思ってんだよ」

「どうもここの所、忙しかったから。ちょっとした衝突」



団員が抜けたことと、情報の錯誤で仕事がバタついたこと。色々と重なってイラついていた。アンナがあまり強く意見を主張してくることは少ない。だからこそうまくいくのだろうが、今回は些細なことで少し言い争ってしまった。



「ケンカの原因は?」

「口にだすのもムダなほど、くだらないことだ」



最近、どうもウボォーやフィンクスにアンナに懐いているように思えた。あまり団員が揃うことはないが、仕事が重なって、自分がいない時に余計に懐いたのだろう。



「いい年して、妬くなんてガキじゃあるまい」
「え?」
「なんでもない、運転頼む」



夜明けまでには着くだろうか。そのころにはもうアンナ達は次の仕事に出かけているのかも知れない。


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