ごみばこ | ナノ




ここ数日降っていた雪は、雨に変わっていた。雨の降る日は、気分がどうも気分が沈んでしまう。寒くなってくると、雨の日ともまではいかないが、少し心が静まる。人肌が恋しくなる、とはこういうことなのか。

仕事を終わらせた後、少し足早に帰るのがクセになっていた。自分の帰りを待つヒトがいる。夜もすっかり更けたこんな時間でも、彼女はまだ寝ずに待ってくれているだろう。


「起きてるかな、なんて、言えた義理じゃないか、」


起きていてくれたら、なんて声を掛けようか。とりあえず、謝るところからはじめなければならない。冷静になれるだろうか。きっと、なれない。

なぜいつも、追い詰めてしまうのだろうか。









『ウボォー!フラッシュ!』

「ったく、またかよ」

「あ、団長」

「・・・アンナ」



とうとう、昨晩は間に合わずにそのまま仕事の続きに回った。やっと団員達の待つホテルに戻ったが、部屋にアンナはいなかった。仕方なくマチの部屋に寄ったが、やけに騒がしい気配に嫌な予感しかしなかった。



「アンナ、話がある」

『まだ途中だから、シャワー浴びておいでよ。これ終わったらいくから』

「さきに話がしたい」



カードを真剣に見つめたまま、アンナは振り向いてはくれなかった。予感は的中したが、最悪だった。恋人が戻ったのに迎えにいかないどころか、目も合わせようとしないアンナに、マチもウボォーも不思議そうにこちらを見ている



「もういいだろ、早く来い」

『・・・っ、』



痺れを切らして腕を掴み、強引に引きずる。アンナは何も言わずにさして抵抗もしなかった。


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