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(3)フランス色とキリスト教 ※この記事は独断と偏見に満ち満ちています。っていうかただの叫び。 ※私は「技巧の場」アーサー選択です! それとミリアサのランスロット大好きですよ! 神谷ボイス万歳! トマス・マロリー著『アーサー王の死』。 それが非常に文学的に重要だったし、それなしには、今の世の中で「エクスカリバー」とか「聖杯伝説」とか「アーサー王」とか「ランスロット」とか、そういう素敵なファンタジーの要素が失われていたことはよく理解している。している。けど。 けどね!? ランスロットが持ち上げられると同時に、ガウェインの扱いが変わってしまったという記述を見つけた私は、どうしても納得いかなくなってしまったのだ! それはランスロットがフランス系であり、ガウェインがブリテン系だからだという。 確かにランスロットはガリアの王バンの息子であり、フランス系だ。 ミリアサにおいても外敵型バンの因子が使われている(*1)とある。 そしてガウェインはというと、オークニー王ロットと魔女モルゴースの息子である。(*2) 生粋のブリテン島生まれ。 何故イギリスの中世騎士道物語である『アーサー王の死』で、フランス系のランスロットが持ち上げられるのか? それは、11世紀以降、イギリスの王朝はフランス系だからである。 昔は文字を扱うのはある程度のエリート層でなければならなかったので、『アーサー王の死』の読者も全てフランス語の素養があった。 そもそも、『アーサー王伝説』はフランス語で書かれている。原題は『Le Morte d'Arthur』と、フランス語なのである。『The Dead of King Arthur』ではないのである。(*3) それともう一つ、これは完全に私見というか、暇があったらこの仮説が正しいかどうか調べたいことなのだが。 勿論『アーサー王の死』の功績は大きかっただろうが、「アーサー王伝説」がそれ以前までも語り継がれてきた理由に、キリスト教があるのではないかと私は思う。 歴史のところでも言ったように、「ブリテン人」というのは「キリスト教化したケルト民族」のことなのである。 「キリスト教化したブリテン人」がゲルマン系であるアングロ人・サクソン人(*4)を打ち払う。 これは、根っからのキリスト教国であったフランス(*5)にとっては「キリスト教徒vs異教徒」の聖戦的意味合いがあったのではないか。 だが忘れてはならないのは、そもそも「アーサー王伝説」の元は、キリスト教など全く関係ないケルト人の民話や伝承である。 ケルト人の民話や伝承はむしろ、「異教」として排除されるないしは邪悪化して描かれているのではないか。 それが生き残る為には、キリスト教化し、「アーサー王伝説」となるしかなかったのではないか。 ……なんてね。 ただ、民話や伝承というのが、何かの権力によって変化していくことはよくあること。 それは悪いことではなく、むしろ、その当時の権力勢力図を知るヒントになるのかもなあ、と思う日々であります。 *1:「No.62 やっぱりご不満」参照。 *2:どうでもいいけど、凄く「剣術の城」っぽい。 *3:ぶっちゃけ、英語の歴史によると、当時は今の英語とは違ったから、例え英語で書かれていても『The Dead of King Arthur』ではなかったと思う(笑。 *4:アングロ人・サクソン人はゲルマン系である。多分、キリスト教化してない……? *5:今の排他的な政教分離国であるフランスを考えると、この発言は少々危険な気もしたが、ローマ教皇誘拐してアヴィニョンしたりしてる訳だし……? それに、今の排他的な政教分離は、反動かな? という印象も受ける。いやーでもフランスって超熱心なカソリックだよね? と思った故の発言です。別にフランスについては詳しくないです。 (20130409) |