小説 | ナノ


▼ 16

いつもの菓子部――


「部屋あちぃっ!!」


「それ、同意ー!」

ゆまが机に突っ伏したまんま賛同してくれた。


そう、うちの部室にはクーラーがない。アイスやジュース入れるための冷蔵庫はあるくせに、クーラーがない。学校内でここだけ唯一だ。



「んー、部費で買いに行こーよー!!先生に金もらってさー」


「そうよね…」


「そうだな…俺も流石に暑い。」


「買いに行きますの?」


ゆま、若葉、密ちゃん、さやもクーラーがほしいようだ。


「よしっじゃあ部長の私が――「えっ」


「は?」


みんなが驚いた顔でこっちを見る。
あまりにも返答が真面目すぎてこっちも真面目に返してしまった。


「名前が部長だったのか?」


「ていうか誰が部長なの」

「名前ちゃんが設立したんだし、名前ちゃんでいいんじゃない?」


「そうですわよ!」


控えめ気味に若葉が言うと、さやもそれにのっかってくれた。
若葉が言うと説得力があるのか密ちゃんとゆまも渋々引き下がった。
なんだと。


「ゴホン。まぁいい。じゃあ金貰ってくるから下足で待機!」










「え?クーラー?教室に付けるのは家庭用じゃちっさいからダメなんだけど……」


職員室でお茶を飲みながら都筑先生が困ったように言う。
確かに中学の時、数学の先生が教室に付けるのにはでかいクーラーが必要で工事も必要と言うことを言っていた。


「あ゛ーー!!!工事無理だよね……」


「仕方無いけど…」


「いや、使ってないクーラーが付いている教室があったはずだ。」


急に私の後ろの方から低い声がした。
この声、いつも行事がある度に聞く


「校長先生!?」


びっくりしたではないか。こうして校長と話す(話してる?)のは初めてで慌てる。


「えっじゃあそこを使っても?」


都筑先生が交渉してくれている。
さすが顧問。やるときはやる。
校長から許可をもらうと私はみんながいる下足に急いだ。暑い思いをしているからな。職員室はやっぱり涼しかった。
涼みたかったから私が職員室に行ったんじゃない。あぁ、本当だ。



「おい!おせーぞ!!」


密ちゃんにめいっぱい怒られた。鬼の形相で。
しかも言葉使いが荒い。

「使ってないクーラーがある教室あるみたい!」




「先に探しとけええ!!!」



――――

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