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Summer!




ある暑い夏のある日―…。

立海R陣そろい踏みで真田家に押しかけていた。





「ちょっ、何するんすか!幸村部長!」

「別にいいじゃないか赤也」

「こんなところで…ダメっすから…アッ−!」

「何をしているのだ幸村!」



赤也の声を聞きつけてかなんなのか、家の主、真田が襖を開けてご登場。

一方幸村は邪魔をされたのが気に食わないらしく、開き直ったように言った。



「何って、脱がせてるだけだけど」

「は、破廉恥な・・・!たるんどる!!」

「だって赤也が暑い暑いうるさいから」



しれっと当然のことのように言い放つ幸村に、赤也は抗議をはじめた。



「だからって全裸になんてさせようとしないで下さい!」

「えー?俺は赤也の裸体、需要あると思うけどなぁ〜」

「ンなもんないっすよ!」



一瞬にして無駄だと悟った。
ああ言えばこう返してくる魔王にたちうちできる術はなく、抗議終了。

その傍らでは、完全に暑さでダウンする面々が…。



「あ〜溶けそう…メルトダウンする〜」

「あぁ丸井先輩生きてたんですね」

「仁王君に至っては一言も喋ってないですから」



畳の上で屍のように横たわる丸井と仁王。

その横には世話を焼くかのようにジャッカルと柳生がついている。

いずれにせよ暑さには参っているようだった。



「…プピーナ」

「あ、喋った」

「ジャッカル先輩なんてほぼ空気同然っすよね」

「なっ……!」



抵抗の痕跡なのか、先程から乱れた服のままの赤也をジャッカルは痛くない程度に叩いた。




「―ところで蓮ニが見当たらないようだが」

「そういえばそうだね」



一同はきょろきょろと辺りを見回した。

大して広くない部屋なのだから居ないことは分かっていても、探してしまうものなのだろう。




「呼んだか?」



突然、開いた襖の奥から柳があらわれた。



「柳先輩!何処行ってたんすか!」

「なに、大したことのない野暮用だ」

「野暮用…っすか」



人の家で野暮用って何だろう…と考えた赤也だったが、深くは追求しないことに決めたらしい。



「時にお前達は暑くないか?」

「この状況で暑くないっつーんならそっちのが不思議だろぃ」

「まぁそれもそうだな」



そんな丸井は柳生に前髪をくくってもらっている最中であった。
この際涼しくなれば何でもやるといった体のようである。



「で?そんなこと言いだす位なんだから何かあるんだろう?」

「いや、ない」

「無いのかよっ!」



暑さのイライラに耐えかねてなのか、反射なのかは分からないがジャッカルがツッコミを入れた。



「柳…?只でさえ暑くて苛々してるんだ…」

「まぁまぁ幸村君ここは穏便に行きましょう」

「そぅっすよ!何か涼しくなる方法を考えましょー!」



不穏な空気にしてはいけないと思ったふたりは必死に幸村をたしなめる。



「赤也はいい加減その暑苦しいテンションを下げてくれないかなぁ」

「すんません…そんな暑苦しかったっすか…すんません…(ヤッベこの人不機嫌だ!)」




「……では気を取り直して何か意見はないか」



哀れむような、慰めとも言える視線を赤也に送りながら、真田は司会を務める。



「そら…ジッとしとくんが一番じゃけぇ」

「しかし仁王、それでは根本的な解決にはなっていないぞ」

「むー…」



不満そうに口を膨らませる仁王。
柳生は苦笑しながらやれやれと彼の頭に手を置いた。




「他に何か―「取り敢えず弦一郎は黙っていてくれないかい?」………」



赤也よりも哀れな目になった真田を見て、各々心の中で叫んでいた。



「じゃあ、俺から一つ提案があるんだけど」

「…何すか?」

「呪いとか―…」

「はいストーップ!!」

「なんだい赤也」

「いやいや!怪談とかならいいんですけど、何すか呪いって!飛躍しすぎっす!」

「へぇ…」



幸村は変わらぬ顔で赤也を見つめる。
周りの表情も何故か青ざめていく。

そして何も気付かず抵抗の意を必死に表す赤也。



「そもそも呪いってのは危険っすよ!大体…って、え?ちょ、待って、え、マジで呪っ…やめっ…」

「赤也は呪われたいの?ワカメの妖怪になりたいの?増えたいの?味噌汁の具になりたいの?」

「あの、幸村ぶちょ…っ落ち着いてっ…きゃあぁぁ!」

「フフ…やだなぁ赤也そんなに怯えて」

「ぅえ…?」




思わず身構えた赤也が顔を上げるとそこには眩しいくらいの神の子の笑顔があった。

戦々恐々となる室内。



「悪寒がするのぅ…」

「そうですね仁王君…」

「柳せんぱぁぁい!」

「赤也…俺に助けを求められても困る」

「幸村君怖っぇー…」

「いや、幸村を何だと思ってるんだ?お前ら…」



一人冷静につっこんだジャッカルはきっと常識人。




「ほら赤也涼しくなったかい?」

「全然涼しくないっす!」

「それは残念だなぁ…じゃあやっぱり脱ぎなよ赤也」

「何でそーなるんすかぁぁ!」



「おーおー暑さでご乱心じゃの」

「仁王…そんな悠長な」




とうとう収集がつかなくなってきたかと思われたその時―…。




「静かにせんかお前ら!!」




いつの間にか姿を消していた真田が怒鳴り声と共に本日2度目の登場。

しかしその手にはお盆とスイカ。



「真田じゃん!今までどこ行ってたんだよぃ」

「あぁ、お前らが少しでも涼しくなるようにと思ってな…スイカでも食おうと…」

「さっすが真田副部長!!」

「ふふっ…弦一郎にしては気が利くね」

「外の方が風通しもいいだろうからな。皆で外へ行こうか」






こうして全員でなんとか涼をとることができましたとさ。

しかし…。






「ハッ…!俺、呪われてないよな…?あれって冗談だよな…?!」





しばらくの間、赤也の胸の内にはいくらかの不安が残ったのであった。


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