海を渡る(微糖)


こっちは元親視点






“なんとしても欲しい”

そう気付いた時には
それは割りと手近にあった

しかし、いざ手に入れようと
手を伸ばしてみても
それはなかなか
思い通りにはならなかった


普段ならば
思い通りにならぬものは
我の捨て駒共同様、
即刻切り捨てていたが
今回は違った


手に入れるのが
困難になればなる程
なんとしてでも
それを手に入れたくなった

簡単に手に入らぬからこそ
余計にそれが欲しくなった

言い換えれば
簡単に手に入るものならば
我が関心を持つことは
なかったのかもしれぬ


さて、どうしてそんなにも
それを手に入れたいのか

我自身わからなかったが
最近になってようやく気が付いた

どうやら我は
それに並々ならぬ関心を抱いているらしい

放っておけぬ、
とでも言うのであろうか

とにかく気になって仕方がない

気になって気になって
落ち着いて日輪を拝むことすらままならぬ



だから我は今日も


「親様、親様」


わざわざ船を使って


「おう、どうした姫」


騒がしい鬼の元にある


「あれ、毛利様の船。こっちに来てます」


気になって仕方がない


「チッ…また来やがったな毛利ィ!」


我の欲しいもの、


「長曽我部、それを我に渡すがいい」


姫を手に入れるために


「何度来ても同じことよ!コイツは渡せねェってな!」


海を渡る


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