きみをのっくあうと(ギャグ?/甘?)


これの神宮寺視点
 姫=神宮寺のパートナー






─早乙女学園女子寮,姫の部屋


俺は現在、パートナーである
姫の部屋に来ている
何故なら、姫が曲を書いているから

姫は出来上がった曲の感想を
一秒でもはやく聴いて、
どんどんイメージを膨らませたいらしい

その願いを叶えるためににも、
俺は姫が作曲する度に
部屋に上がっている

姫は作曲中に
音を立てられることを嫌う
だから椅子等には座らずに
ベッドを借りている


静寂の中、姫が
ペンを走らせる音だけが響いている

はずだった


―〜♪


聞き慣れた着メロが鳴った
チラリと姫を横目でみれば
あからさまに嫌そうな顔をしている

それから携帯電話に目を落とすと
ディスプレイには“ジョージ”の文字


─これはからかうしかない

悪戯心が顔を出した


「おっと、電話だ……もしもし?」

((レン、俺だ))

「ああ、レディか…。」

((レディ?))

「ん?いや、冗談だよ冗談。」

((…そうか?まあいい。明日の事なんだが…─))

「…ああ、分かってる、分かってるよレディ。それじゃあ、また明日ね」


上機嫌で電話を切った俺
対する姫はご機嫌ナナメだ


「どうしたんだいレディ?そんな眉間に皺を寄せて…可愛らしい顔が台無しだよ?」

俺はいつもの様に笑いながら言った

が、どうやら余計に
ご機嫌を損ねてしまったらしい


「作業中に音を立てないでって言ったでしょう?」

「ああ、すまなかったね…ちょっと急ぎの電話でさ」

「どうせまたデートの約束なんでしょう?そんなにデートばっかりしてたいのなら今すぐ出ていって。それでコンビ解消してちょうだい。付き合いきれないわ」


電話の相手を勘違いしている姫
まぁ、それは俺がジョージを
“レディ”と呼んだせいなのだが…
“コンビ解消”
まさか姫の口から
そんな言葉が出てくるとは思わなかった
俺は姫とのコンビを解消する気は全くない


─少しからかい過ぎたか…
 このままでは、不味い


「ちょっと待ってよレディ、今の電話は…」

俺が弁解をしようとすれば
俺の言葉を遮って
一気に捲し立ててくる姫

「今の電話は、何?下らない連絡取り合ってるならさっさと会いに行きなさいよ。それと、帰りに日向先生の所に行ってコンビ解消してきてちょうだい。だいたい神宮寺は軽すぎるのよ。何が“レディ”よ、ふざけるのも大概に…」

「姫!」


話も聞かずに突っ走る姫に耐えかねて、
大きな声で名前を呼んだ

名前を呼ばれた姫は
ビクリと体を震わせ止まった


「…何よ」

苛立ちが浮かぶ瞳
そんな顔をさせたかった訳じゃないんだ

「今の電話はジョージからだ」

真実を打ち明ければ
“意味がわからない”
とでも言いたげな表情に変わる


「姫をからかうためにわざとジョージをレディって呼んだんだよ。明日、俺に渡すものがあるって電話だった」

「な、何よ…それ……」


しっかりと説明すれば
急にアタフタしはじめた姫

これは…

「…もしかして、嫉妬した?」


ベッドから下りて近づいていけば
更にアタフタする姫


「…っ自意識過剰も大概にしなさいよ」

キッと、睨み付けられたが
全く恐くない
むしろ可愛らしい

「全く、素直じゃないねぇ…まぁ、そんなところも可愛らしいよ?」


そう言って俺は姫を抱き寄せた

突然のことに何も対応が出来ずに
腕に収まった姫
そのまま三秒程フリーズしていたが、
状況が理解できたのか、
腕から逃れようと暴れだした


「なっ…!!離せ!このナンパ野郎!」

「はいはい、コンビ解消発言を撤回してくれたらね?」

そう言って更にきつく姫を抱きしめる


「こんの野郎…いい加減に…」

今にも怒鳴りそうな姫に一言

「愛してるよ、姫」

「っ…!!」

耳元で囁く様に言えば
姫はまたフリーズした

本当に可愛くて仕方がない



─きみをのっくあうと



(ばばばばばバカを言うな!!は、離せ!離せぇぇ!!!)

(はいはい、嬉しいなら嬉しいって言えばいいのに…)

(う、嬉しくなんかない!嬉しい訳があるかっ!離せ変態!!)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -