◎ 1話
ナマエは名家の1人娘であり自身もそれを自覚し気高く生きていた
個性という超常現象が起きてから世界のほとんどの人は自分が使える個性を発揮する
ナマエの場合はフェロモンの個性
個性を発動すると男女問わずナマエを好きになってしまうのだ
それがあってかナマエはもうすぐ高校を卒業するというのにちゃんとした恋などしたことが無かった
通う名門校へは専属の運転手がおりいつも通りに登校するはずだった
いつもと違ったのは道で大きな事故があったらしく車が大混雑し一向に進めない事である
「ちょっと!学校に遅れちゃうじゃない!」
「申し訳ありませんナマエ様。ご不便をお掛けしますがここからは少し歩いた方が賢明かと…」
「全くもう!仕方ないわね…」
名家のお嬢様とあろうものが遅刻するわけにもいかない。幸いここからは10分も歩けば学校に着く
ナマエは仕方なく車を降り歩いて向かったは良いものの普段が車なので途中の十字路でどちらに進めばいいのか分からなくなっていた
困っていたナマエは近くを通ったクリーム色の尖った髪型の同年代ぐらいの男の子に声をかけた
「ねぇあなた、マリア学院へはどちらの道を行けばいいのかしら?」
話しかけたにも関わらず男の子はチラリとナマエを見ると面倒くさそうな顔をして何事もなかったかのように無視して歩き出した
「ちょっと!あなたに言ってるのよ!?その制服雄英でしょ!」
「あぁ?俺に話しかけんじゃねぇよ去れモブが」
「モブですって!?私に向かってなんて態度なの!?」
こんな扱いを受けたことがないナマエは意固地になりカッとなった勢いで個性を使った
一瞬しまった、公共の場でそれも一般人に、なんて思ったがこれで道が聞けると踏ん反り返った
「…さぁ話してちょうだい。道はどちらかしら?」
「話しかけんじゃねぇっつたろが!」
「えっ」
確かにナマエは個性を使った
強力なフェロモンの個性だ今までの人は自我を失いナマエの言う事を素直に聞くだけだったのに
(…この男はなに!?個性が通じない!?)
ナマエが驚きから立ちすくんでいるとナマエの個性の効かない少年爆豪はスタスタと歩いて去って行った
その背中を見つめていたら結局学校には遅刻してしまった
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