小説 | ナノ

 17話



大きくて立派な雄英の建物が立ち正門には入学試験会場と看板に文字が書かれている

今日は雄英の実技試験の日

ナマエは門に足を踏み入れる前からキョロキョロと周りを見回しある人物を探していた

「あ、」

ー 見つけた。
クリーム色の尖った髪に見慣れた制服、見慣れた歩き方
ナマエは後ろ姿を見て迷いなく追いかけた

「勝己くん!」

名前を呼ばれて振り返る爆豪に「やっぱり勝己くんだ」と笑うナマエ

「ナマエ…」

約1年と半年ぶりの再会に2人の間に冬にはない暖かい空気が流れた気がした

「…テメェナマエ、1年半も音沙汰無しとはどーゆーこった、アァ!?」

「久しぶりだね勝己くん」のナマエの言葉は爆豪の怒りの声に掻き消された
実際何度も手紙を出そうとした、しかしいざ便箋を前にすると何を書いていいのか分からず少し恥ずかしい気持ちになって書けませんでした。なんて言えるはずもなくナマエはただ謝った

「ごっごめん勝己くん!実は体力と個性の特訓が忙しくって…」

「ちっとはまともに使えるようになったンか」

「うん!結構上手く使えるようになったよ!」

そうかよ、と踵を返す爆豪は2、3歩歩いたところで振り返り「何やってんだ、早よついて来い」とナマエを呼んだ
ごく自然に、つい昨日の事かのように爆豪の隣に立てる事が嬉しくて「うん!」と返事をして小走りで爆豪の隣に立つ

「勝己くん身長伸びたね〜」

「当たり前だろ、舐めんな」

なんて、他愛ない会話を楽しんでいるとくしゅんっとナマエが小さなくしゃみをした

「ナマエ、マフラーは?」

「実は忘れちゃったの…緊張してるのかなぁ」

爆豪は無言で自身が巻いているマフラーを外しナマエの首にかける

「えっ悪いよ、勝己くん寒いじゃん」

「いいから付けてろ」

先程まで爆豪の首に巻かれていたマフラーは温もりを保ったままで、ナマエは甘んじてそれを受け入れた

あ、勝己くんの匂いだ。





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