05.蹂躙する愛してる


 知っていたよ、凪。お前が俺を心良く思っていない事ぐらい。いつも見ていれば分かる。それでも傍にいるだけで良かった。

 お前はいつも真っ直ぐで、自分に嘘は付けない性質だ。ふと気が緩んだり、高ぶった時に発する言葉は、紛れも無い剥き出しの本音。


『充、これ以上俺に近づくな……迷惑だ』

 正直、そこまで嫌われていたとは考えたくなかったが、凪の俺を見る目が侮蔑に満ちている事が、現状を雄弁に物語る。

「……焦がれているお前からああもはっきり拒絶を告げられ、俺が何も思わないと、傷つかないとでも思ったのか?」

 今の自分はどんな表情をしているのだろう、内に巣食う暗く澱んだ感情が溢れだしているに違いない。いつもと違う俺の様子に、顔が強ばり息を飲むのが分かる。

 油断した凪の隙をつき、頬を殴り押し倒した。凪も鍛えているとはいえ、やはり体格と経験に差が有ると、結果として地べたに這い蹲るしか無い。

「お前が俺を遠ざけると言うなら、俺の存在を片時も消せないよう、今からその身に刻むまで。だな」

 馬乗りになり両手を一纏めにしてから押さえ付け、動けなくしてから酷薄な笑みを浮かべ無情と言える台詞を放つ。

「なぁ凪、今からお前をドロドロに汚して、孕むまで犯し続けようか? ……俺を本気にさせたんだ、せいぜい良い声で鳴いてくれ」

 見開いた浅縹色の瞳が憤怒と悲哀に揺らぐ。その様に満足した俺は、制服を引きちぎり薄い胸板に手を這わす。小生意気な顔が屈辱と怯えに泣き濡れながらも段々と色を纏う様に興奮を隠し切れず、思うがまま目の前の肢体を貪り喰う。

 凪は心の機微に疎く、そして、俺はどこまでも脆くて愚かな存在だった。

2017/05/15
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