02.その愛に証明不要
恥ずかしさから珍しく素直になれないのは仕方ないけど、もう少しだけ分かりやすくならないか? 出来ればちゃんと教えて欲しい。お前の考えと、その気持ち。
「哲は、俺の事どう思ってるの?」
ゆったりとベッドで寛ぎながら本を読んでいる隣の哲に、疑問を投げかける。我ながら率直だとは思うけど、一番知りたい事だから飾らずにぶつけてみた。
「え?」
文字を追う事を中断した哲は、ページから目を離し俺を見る。ああ俺とは真逆の、茜色の瞳が綺麗だよなと、頭の中でそんな感想を抱く。
「……改めてそれを聞くの?」
今更何言ってるのと、あからさまに顔が歪む。眉を顰める表情も、哲なら愛らしく見える。同じ男なのにそこは気にならないのだと、改めて思った。
「だって、一緒にいるようになってから長いけど、改めて伝えて貰って無いな」
首を傾げて、考える。思い返してみてもやっぱり記憶に無い。ちらっと窺うと、盛大にため息を吐きながら呆れた様子で本を閉じた。
「ぼくが何も言わず、凪の隣にいる。それで分っていると思ってた」
「いやいや、言わなきゃ分からないって!」
盛大に突っ込んで抗議しようとしたら、そっと手を握られ、そのままベッドに縫い付けられてしまう。咄嗟の出来事で動けない俺に近づく哲の眼差しから目を逸らせない。微動だにしないままでいたら、コツンと額が触れ合った。
「えーっと、一度しか言わないから良く聞いて。……好きだ。気恥ずかしいから、はっきり言えなくてゴメン」
無垢な告白と、降りてきた拙い口付けに胸を射ぬかれる。 狡い、なんて卑怯で可愛い不意討ちだ。
でも、それだけで許してしまう俺は、本当に哲が好きなんだ。だから、もう良いや。俺は微笑みながら、腕を伸ばして更にねだる。
「うん、分かった。ちゃんと受け止めたから、だから……続き、しよう。ダメとは言わせないからな?」
証なんてもう良いや、考えるのは後回しに、先ずは一つに混ざり合おう?
赤茶色の髪を梳きながら、恥ずかしそうに目の前で目を閉じた哲に、今度は俺から口付け服を脱がしていく。普段は慎ましく隠された首筋や素肌に眩みながらも、余す事無くその身を奥深くまで味わった。
2017/05
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