また逃す


指名手配中の男は、内心舌打ちをこぼした。指名手配されてから長い時間が経ち、張り詰めていた糸を少しずつ緩めていた。それを覆面警察官に見つけられた。
男は足だけは早かった。土地勘のない場所でも人混みと人気のない場所を交互に選びながら巧妙に姿を消すことに長けていた。足を止めずに一時間が経った頃、路地裏でようやく息を吐いた男は背後に聞こえた足音に素早く振り向いた。
「なあ、ひま?」
褐色の肌の、高校生くらいの少年だった。目を見張るほどの美貌で、艶やかな唇が動く様に収まっていた冷や汗が垂れる。
(暇な訳がない)
また見つかる前に姿を隠さなければいけない。しかし、男の足は縫い付けられたように動かなかった。
「俺と気持ちいいことしよぉぜ」
麻痺した頭で、男は頷いていた。

「んうっ…」
少年、ユキジは口の中に男のちんこをくわえて、髪を耳にかける。誘うようにちらりと上目遣いで男を見上げて髭の悪人ヅラを眺めた。
じゅぼっじゅぶっじゅぶっ。
「んむっ、んんッ」
頬がハムスターのように膨れるのを見下ろし、男は快楽に浸る。誘ってくることだけある、かなり上手い。喉奥へと導いて、締め付ける圧迫感は何年か前に抱いた女の膣に似ていた。
じゅるっじゅぶっぶじゅっ。
それを思い出して我慢汁を垂らすのをユキジはぺろりと舐めては微かに目を細める。これから精液が貰えるのだと、期待した目だった。
れろっれろっちゅぱっじゅるっ。
「はあ、ッ…おっさんのちんこ、おいひーよ」
「はっ…そうか、よっ」
ユキジの赤く染まる目元などひどく艶めいて見え、髪を掴むと顔に腰を押し付けるように突き出す。ガンガンッと前後させると、竿の部分やカサの部分に舌のぬとりとした柔らかさが巻きつく。
「んむっんっ、はあっ」
柔らかく暖かな口内は女のものと遜色はないし、顔もそのへんの女よりずっと可愛い。むくむくと勃起したちんこの限界を感じながら手を早める。
「んっんっあんっ、んぅっんんんっ!」
「あー、いいぜ」
「んふっふぅっ…んぐっ…」
ぬちょりとした汁を嚥下しながら、ユキジは勢いよく啜りながら口を前後させた。
「チッ…おら、ッ」
その動きは絶妙で、男は瞬く間に精液を喉に叩きつける。久しぶりの射精でかなりどろっとしたものを吐き出したが、ユキジは顔を蕩けさせたままレロッと舌を出す。白い液体が舌の赤と対比になっていて、ぞわりとするほどの色気だ。
それを口の中に仕舞うとごくりと飲み込む音がする。
「うめー…結構濃いなー」
味わうように口を動かしているユキジは、今度はぴったりとしたジーパンを脱ぎ始めた。すっかりもう終わりだと思っていた男はギョッとした。路地裏のこの場所の10メートル先には人通りの多い大通りがある。薄暗く分かりづらい場所とはいえ、気付かれる恐れも十分ある。
しかし、ユキジの下着を押し上げてテントを張っているものを目にすれば男の気持ちは傾いた。灰色の下着は色を濃くしていて、その下にすらりと伸びる足。
はあはあ、と気付いたら息を荒くして見つめた。
「まだ、だろ?」
下着を軽く下げると、ぷるんっと飛び出す汁をこぼす精液。それを見せつけるように扱くと、とぷとぷと雫を零している。これほどまでの卑猥な光景を見たことがない。更に誘うように、ユキジは片足をあげるとその奥の蕾を見せつけた。
「ッ!」
ぱくぱくと、餌を求めるように開口するアナルに男は絶句した。そして誘われるがままに、顔を近づけアナルに舌を差し込んだ。
ぬぷっぬぽっじゅぷっ!
「あんっあっ、もっ、と…なめてっ!」
尖らせるように奥へ何度も押し込むと、開花するようにその穴は蕩け始める。男の鼻はたわんとしたキンタマくっつくと、今度は夢中でたまを舐め始めた。
「あんっなめなめ、きもちぃっ!」
ぬるっれろっれろっれろっ。
「ああっあなるも、なめてッあんんっ!」
にゅるっにゅるっれろっれろれろれろ…。
「ああああッーー!」
シワを伸ばすようにアナルの輪を舐めたと思えば、中の汁をこそぎとるような舌にユキジは翻弄される。
「はあっ、ここ…きてぇっ」
二本の指をアナルに押し込んで、広げる。たらりと糸を引く奥に、薄暗い赤の色が蠢く。出したばかりとはいえ久しぶりで、復活するのが早い男のちんこはあっという間に最大まで勃起する。
ずぶっぬぷぷぷぷッ…!
「ああんっきたぁッ」
ユキジはすかさず離さないように男の首に腕を回す。今度は逃さないからな、と心に誓いながら。
じゅぶっずぶっじゅぶっじゅぶぶッ
「あーッ、きもちぃよぉ!ああんっあんっ」
ユキジが足を浮かせて腰にしっかり逃すまいとしがみ付くと、男はユキジを壁に押し付けて支える。より深く繋がり、ユキジは頭の頂点を擦り付けて感じ入る。
「おくっ、だせよ…っ、あっごりごりっんあっあああ〜ッ」
「えろがき…っ」
喘ぎ声が直接男の耳に吹き込まれる。
「はあっひっひぃっ」
ごりごりと前立腺に擦り付けられると、きゅうきゅうと締め付ける具合のいい穴。
がつがつと力強く暴力的なまでの動きはすべて快楽へと変わり、絶頂に近くのを感じる。
「あんっあんっあっ、ーーッ」
くる、と感じた瞬間だった。
「おいっいたぞ!」
大量の足音、大きな声、光を当てられると男は「やべっ」と呟くとずぶっと抜いた。
「ひあんっ」
ユキジなんて気にせずに慌ててズボンにいきり立つものをどうにか納めて男は走り出す。
それを追いかけていく警察官たちもユキジを置いていき、一人の気弱そうな警察官がユキジを伺うように見ている。
「うそだろ…」
中出しされないどころか射精すらさせて貰えなかった熱がユキジの中に渦巻く。
また逃すなんて。




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