放課後。帰りのHRも終わり、荷物を持って部活に向かったり、何をするでもなく残って話し込んでいたりと、各々散らばっていく。私もスクールバッグを肩にかけて、教室を出た。向かう先は、テニスコートである。
 放課後テニスコートに向かうと言っても、私はテニス部ではない。目的は、テニスコートに立っている彼だ。

「あ、もう始まってる」

 コート周りにはすでに女の子のギャラリーができていて、これはいつものことだけどやっぱり異様な気もする。同じ学校の生徒なのに、アイドルみたいだよなぁ。私はギャラリーたちとは少し距離をとって、ベンチに座った。すでに練習は始まっていて、目当ての彼がラケットを持って球出しを行っていた。今日もかっこいいなぁ。なんて見ていると、途端に目があった。ばちりと合った視線にドキッとすると、彼は柔らかく笑った。本当、かっこいい。
 男子テニス部三年生レギュラー、忍足侑士、彼こそが私の恋人である。一年の時クラスが一緒になって、委員会も同じになったことから話すことが増えた。甘いマスクに色っぽい声、いつも優しい彼に惚れてしまったのは完全に私の方が先。でも、告白してくれたのは侑士からだった。あの時の舞い上がりっぷりは言うまでもない。
 侑士と付き合うようになってから、テニス部の練習をこうして見に来ることがほとんどになった。そうすれば一緒に帰れるし、テニスをしている侑士も一段とかっこいいのだ。今日も上機嫌で彼の練習風景を見ていると、5分休憩の号令がかかった。各々タオルで汗を拭いたり水分補給をしに行く。それ自体になんの問題もなければ当たり前のことなんだけど、いつもと違う風景に視線を引かれた。

「・・・誰だろ、あの子」

 知らない女の子が、侑士にドリンクを渡しに駆け寄っていたのだ。


「あぁ、あの子な。二年の桜庭さん言うて、先週から入ってきた子なんよ。転校してきたばっかりやねんて」

 帰り道、見覚えのないあの子のことを聞くと、あっさりと話してくれた。先週、私は苦手科目の補習につかまって見学に行けなかったから知らなかったんだ。転校する前もテニス部のマネージャーだったらしく、本当にテニスが好きみたい。・・・だけど。

「ええ子やで、ちょっとドジやけど一生懸命やってくれとるし。わからん事とかよく聞きに来るんやけど、そういうとこも熱心で」

 ・・・そんなに褒めなくても。でも、確かにあの子・・・桜庭さん、よく侑士のところに声をかけていた。休憩の時とか、片付けの時とか。私が意識しすぎてるのかもしれないけど、他の男子部員とはあんまり話してなかったようにも見えた。・・・侑士は正直すごくモテる。だから言い寄ってくる女の子なんてそりゃあいっぱい居たんだけど、やっぱり気になってしまう。

「そんで、桜庭さんがどないしたん?」
「ん、別に。見たことなかったから気になっただけ。」

 そんなことより今日課題いっぱい出ちゃったの! わかんないとこあるから夜電話してもいい? なんてすぐに別の話題に切り替えた。同じ部活の後輩の女の子相手に嫉妬してる、なんて思われたくない。面倒臭いとか、重いとか思われたらたまらないもん。
 侑士はいつも優しくて、だめだめな私をいつも助けてくれて、いっぱい愛してくれる。そんな侑士のことを困らせたくないし、私も侑士にふさわしいような、余裕のある女にならなくちゃ。ぐっと侑士と繋いでる手に力を入れた。


「・・・あれ、あの子」

 数日後、昼休み。お弁当を持って、侑士の教室まで向かっていた。毎日中庭で一緒にお昼を食べるのが日課になっていて、今日もそのために侑士を迎えに行っていた。侑士のクラスの前まで来ると、入り口前で侑士と、桜庭さんが話しているのが見えた。桜庭さんはノートと教科書を持っていて、侑士がシャーペンで何かをノートに書いている。なんとなく近づけないでいると、侑士が私に気がついて、桜庭さんにペンを返して何かを伝えていた。桜庭さんは侑士にお辞儀をして、私を一瞥するとその場から去って行った。

「なまえ、待たせて堪忍な。行こか」
「うん。・・・どうしたの? あの子」
「あぁ、数学の勉強でわからんとこがあるから教えて欲しいって。俺数学は得意やって前話しとったから」

 確かに侑士は理系科目が得意で、私も随分お世話になっている。教え方も上手だし、質問するには最適と言える。・・・でも。

「でも、わざわざ・・・」
「ん?」
「いや、なんでもない。お昼行こっか!」

 言いかけたことを飲み込んで、侑士の手を引いた。・・・わざわざ三年の教室まで来るなんて、やっぱりそういう気があるんじゃないだろうか。もやもやとお思うことはあったけど、気がつかないふりをした。

 それからまた数日後。今日も部活の見学をしていた。部活の時間も終わり、片付けや着替えに部員が戻っていって、ギャラリーも帰っていく中私は侑士の支度が終わるのを待っていた。次第にぞろぞろと部員が制服姿で出てきて、そろそろかな、と様子を見る。でも、なかなか出てこない。だいたいいつも一緒に出てくる向日くんが芥川くんと一緒に出てきたから、声をかけた。

「ねえ、侑士は?」
「ん? ああなんか、マネがポカやらかしたの手伝ってたぜ。」
「最近やけに仲良いよねー。忍足と桜庭さん」
「おい、そういうことこいつの前で言うなよ・・・つーわけだ、ちょっとかかると思うぜ! じゃあな!」

 向日くんはバツが悪そうにしながら芥川くんを引っ張って帰って行った。・・・侑士、またあの子のこと手伝ってるんだ。ほとんどの部員が帰って、テニスコート周辺も静かになる。出てきてないのは、あの二人だけ。少し迷ってから、部室のドアを開けた。

「わっ。」
「っ! ・・・失礼しますっ」

 ドアを開けた途端、桜庭さんとぶつかりかかってしまった。ちょうど出てくるところだったようで面食らったが、桜庭さんは私のことを見た途端一目散に帰って行ってしまった。
 部室に入ると、苦笑いでこちらを見る侑士。手には、白にピンクの花柄の、可愛らしい封筒が握られていた。

「・・・どうしたの?」
「いや、桜庭さんがスポドリぶちまけてもうて、掃除手伝っててん。遅なってすまん」
「それは?」
「あー、これは・・・断ったんやけど、押し付けられてもうて」

 言わなくても、桜庭さんからのものだってわかる。気まずそうに頭を掻く侑士を見て、「ふうん」とだけ言ってソファに座った。

「どないしてん」
「別に。」
「別にやあらへんやろ。めっちゃ機嫌悪いやん」

 侑士が私の隣に座ってきて、私はぷいっと反対側を向く。ああ、可愛くないなあ、私。

「・・・妬いとるん?」
「別にそんなんじゃないもん。支度遅いからだよ」
「あぁ、せやな。ほんまにごめんな」

 ぎゅ。後ろから侑士が抱き締めてきて、私の方に顎を乗せる。顔が近くにあることにドキドキして、侑士の方を向けない。顔がみるみる赤くなっていくのが、自分でもわかった。

「なまえは、俺が他の子とおっても妬いてくれへんの?」
「え、と、その」
「どうでもええん? 俺が何しとっても」

 私の耳元に唇を寄せて、囁くように聞いてくる。抱きしめてくる腕がもぞもぞ動いて、身体のラインを撫でるように手が滑った。心臓がの動きがどんどん早くなっていく。侑士の色っぽい声で、こんな耳元で囁かれたら堪らない。

「そんなこと、っ」
「じゃあ、妬いてくれてたん?」
「っそうだよ、妬いてたの」

 観念して思ったことを口に出すと、身体をくるっと動かして侑士の方を向く。侑士から眼鏡を取り上げると、唇に触れるだけのキスを一発、おみまいしてやった。

「・・・やられた」
「何も思わないわけ、ないじゃん。侑士は、その・・・私の彼氏なのに」
「最初からそう言い」
「だって、面倒くさいとか、重いとか、思われたくなくて」

 ああ、黙ってるつもりだったのに、結局言うはめになるんだもんなぁ。なんか涙出てきた。私ばっかり必死みたいじゃん。あんまりワガママ言いたくないし、困らせたくないし、でも、やっぱり侑士が他の子と仲良くしてたら、やだよ。

「・・・そういうんは、言うてくれてええねん。っていうか言ってや」
「でも」
「でもやない。ほんまになんも気にしてへんのかと思ってちょっとヘコんだっちゅうねん・・・」
「でも、ワガママって思われたくないし」
「アホ。なまえもっとワガママ言うてええし、言って欲しいねん、俺が。なまえやったら面倒やないし、重いとも思わへん」

 正面から抱き締められて、おでこにキスされた。優しく髪を撫でられて、身体を引き寄せられる。

「もっと甘えて欲しいし、ワガママやって言うて欲しい、ヤキモチやって妬いてほしい」
「・・・いいの?」
「当たり前やろ、して欲しいって言うてんねんから」

 頬にキスをされる。優しく頭を撫でられて、滲んできていた涙を唇で拭われた。

「せやから、泣かんといてや、な?」
「っ・・・侑士が、女の子たちにキャーキャー言われてるのもやだし、皆に優しいのも嫌だし、あの子と仲良くしてたのも、やだった」
「そう、それでええねん。よぉできました」

 ちゅ、と唇にキスをされる。触れるだけじゃなくて、長く、舌を浅く触れあわせて、唇を舐められた。背中からお尻にかけて優しく撫でられて、ぐっと身体を押される。

「ご褒美、あげよな」
「え、待って、っ」
「待てへん」

 抵抗しようと身体を押したけど、力で敵うわけがなくそのまま侑士にソファに押し倒される。手で身体を押していたら両手を恋人繋ぎて捕まって、そのまま舌が深く口内に入り込んできた。

「っはふ、…んんぅ、うぅ」

 口内を舌が動き回って、犯される。そんな感覚にゾクゾクした。長い深いキスは、息継ぎが未だに上手くできなくて苦しい。苦しいと思うのに、その苦しさが愛しく思ってしまうのはなんでなんだろう。やっと離された唇は唾液で濡れて、厭らしく光る。

「エロい顔」
「ゆ、侑士のせいだもん・・・」

 恥ずかしくて視線を逸らすと、侑士の手が私のシャツのボタンを外し始める。前だけ広げられて、でもネクタイは少し緩めるだけ。背中に手を回されて、ブラのホックも簡単に外されてしまう。そのまま上に上げられて、あっという間に恥ずかしい格好にされてしまった。

「乳首もうめっちゃ勃ってんで? ほんまやらしい子ぉやな」
「だってぇ、っあん」
「だって、何? 興奮しちゃったん?」

 両手でおっぱいを鷲掴まれて、ぐにゅぐにゅと形を変えられる。揉まれながら指と指の間で乳首を挟まれて、快感で身が震えた。

「も、ほんと、だめ、っ部室で、こんな」
「嫌や、なまえがこんなやらしいコトんなっとるんに、今更やめられへん」
「だから、っそれはぁ、っやあ!」

 ちゅうっ、と乳首に吸いついた。いきなり強く吸われたかと思うと、空いた手がスカートの中に手を突っ込んだ。内腿の柔らかさを味わうように触ったあと、ショーツ越しにおまんこに触れた。

「もうここびしょびしょやんか。こないなことになっとるんに、家まで待ってられへんわ」
「っ、誰か来たら、どうすんの」
「さあな、見られて噂になるんもええんちゃう?」
「ッバカ、ああぁんっ!」

 ぐりゅ、とショーツ越しにクリトリスを摘まれて一際高い声が出る。それに気を良くしたのか、ショーツの上からこねるように刺激してきて、クリトリスもぐりぐり弄られる。スカートは思いっきり捲くられて、足を更に開かされた。

「やあ、侑士、っやぁ、ん」
「まんこどんどんエロい汁出てくるで? ほんま、やらしいわ」
「っひ、あぁん」

 意味を成さない程びっしょりと濡れたショーツを、遂に下ろされた。無防備になった下半身がびくりと震える。侑士は両の太ももを掴み、M字に大きく開かせてきた。

「っだめ、侑士ぃ、っ」
「恥ずかしいトコ、全部丸見えやで? ・・・めっちゃエロいわ、今のなまえ」
「っも、やだぁ」

 羞恥から涙が出て、手を口にあてる。制服を中途半端に乱されて、足を大きく開かされて。こんな恥ずかしい格好・・・自分の状況に恥ずかしくて声も出なくなっていると、侑士はベルトを外してズボンもパンツも下ろして、おちんぽを取り出した。

「なまえ、っ」
「っ、え、待ってぇ、まだ無理ぃっいい!!」
「くっ、…は、ぁ」

 大きく勃ちあがったおちんぽを、慣らしてもないおまんこに強引に挿入された。必死で息を整えようとしている私に構わず、侑士は腰を振りはじめた。

「やめ、っゆーしぃ! だめなのおまんこぉっ無理ぃっ!」
「は、っ俺かて無理や、あ、っ」
「だめぇっあぁぁんんっゆーし、っゆーしぃ!」

 ガツガツと奥までおちんぽを突かれ、苦しいのと気持いいのとで頭がぐちゃぐちゃになる。もうなんの涙かもわからない涙で目元がぐちゃぐちゃだ。だんだんおまんこが慣れてきて、気持ちいいいってことしか考えられなくなってくる。侑士の興奮した顔を見て、胸の奥がきゅんとした。

「あぁ、っなまえ、アカン、イきそう、っ」
「あぁぁんんっわたしもぉ! イっちゃうっおまんこイっちゃうのおぉおっ!」
「っ、出る、は、っ」

 ビクッ!!びゅるるるっビクンッ!!! おまんこがビクビクと収縮して、ナカでおちんぽが脈を打ちながら射精した。ゆっくりおちんぽが引き抜かれると、ごぽ、とお互いの液体が混ざったものが流れ出た。

「めっちゃエロいわ・・・可愛えな、なまえ」
「はぁ、っはぁ、ん、ばか、っ」

 抱き寄せられて、キスをする。抱き締めてくる手付きも、唇も優しくて、イッた余韻の抜けない私を包み込んでくるようだった。両手でがっつり抱き締められて、侑士が唇を耳元に寄せてくる。

「・・・愛しとるで」
「っ! ず、ずるい・・・」
「なんとでも言い。・・・こないなこと言うんも、するんも、なまえだけやから。心配することなんてなんもないんやで?」
「わ、わかってる、もん・・・わたしも、だよ」

 恥ずかしくて、きゅっと侑士のシャツを掴む。侑士が浮気とか、するはずないってわかってる。でも、やっぱり言葉にして伝えてくれたことが嬉しかった。

「わたしも、何?」
「・・・侑士のこと・・・愛してる。」
「よぉできました」

 ちゅ、と唇にキス。全部包み込んでくれる侑士が、大好きだ。

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華奈様リクエストありがとうございました!
ご期待通りにできましたでしょうか・・・気にいって頂ければ幸いです。
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