「いいよね〜なまえは、彼氏とラブラブだもんねぇ」

 日曜日、14時前。前から行こう言っていたカフェに、高校時代の同級生と一緒に来ていた。ふわふわのパンケーキを幸せな気分で食べていた時、友人の一人がそう口にしてむせかけた。

「な、なによ急に」
「だってさ、あんなにイケメンでしかもお医者様でしょ?」
「そりゃ羨ましくもなるよ〜、仲良しだし、幸せでいいなぁ」

 もう一人の友人も頬杖をついてそう言った。・・・確かに、私には付き合って四年経つ彼氏が居る。大学時代にバイト先で知り合って、一年くらい経ってから思い切って私から告白した。付き合いはじめてからは二人でお金をためて、同棲も一年前からようやく始めることができたくらい、交際は順調と言えた、のだけど・・・。

「あ〜、まぁ、ね・・・」
「なに、上手く行ってないの?」
「喧嘩でもした?」
「いや、喧嘩はしてない、んだけど・・・」

 口籠るわたしを不審に思って、顔を覗き込んでくる二人。確かに、侑士とは今も変わらずラブラブだし、喧嘩も滅多にしない。侑士はいつも優しいし、私のことを愛してくれてると思う。ただ、ちょっと、最近のモヤモヤの種がひとつ、あるのだ。

「・・・前、侑士の職場にちょこっとだけ行ったんだけどね」
「うんうん」
「すっごい綺麗な人と仲良さそうに話してたの」

 わたしが仕事休みで、侑士が仕事だった日。そういう日は珍しくなくて、むしろ今日だってそう。最近二人で居る時間がかなり少ないのも、侑士の多忙が原因だった。侑士だって頑張ってるんだし、それに関しては私だって応援してる。寂しい気持ちはあるけど、忙しいことに対して文句はなかった。
 あの日、侑士が珍しく忘れ物をした。普段そういうことって滅多に無かったから驚いたけど、思い切って届けに行くことにしたのだ。わざわざ堪忍な、待っとるわ、って電話越しに聞いた時は、侑士の職場に初めて行くんだってことにドキドキしてた。白衣姿も見れるかもしれないし、なんて。
 浮足立って向かった侑士の職場。こんな大きなとこで働いてるんだな、なんて思いながら、言われていた場所に向かって行った先に、侑士を見つけた。一階のロビーがガラス張りだったから、それ越しに見つけたのだった。でも、侑士だけじゃなくて、・・・

「綺麗な子と喋ってた、ってこと?」
「そう。・・・紹介されたけど、歳下でさ。でも大人っぽくて、美人で、結構仲も良さそうで」

 黒髪の綺麗な長身の彼女には、白衣がよく似合っていた。侑士と並ぶと、そりゃあ絵にもなって。二人を噂する声も聞こえてしまったし、話しかけるのに一瞬躊躇した。・・・女同士だからなんとなくわかる。絶対侑士のこと好き。彼女だって紹介してもらった時、若干顔が引き攣ってたし。心にひゅっと冷たい風が吹いたような、そんな気持ちになった。
 家に居た時、あの人ってどんな人なの、って聞いてみたこともある。仕事熱心で、賢くて良い後輩らしい。よく侑士のところに声をかけてくるらしく、私から聞いておいてあれだけどすっごく面白くなかった。でも嫉妬してるなんて思われたくなかったから、適当にごまかしたけど。
 あんなに綺麗で、仕事もできるんじゃ、きっとモテるんだろうな。侑士だって、・・・。仕事の人間関係についてどうこう言いたくない。でも、私の知らない侑士が少し寂しくて、それを知ってるあの人が羨ましかった。

「まぁあれだけイケメンじゃあね、そりゃモテるよねえ」
「・・・なんか、こんなことでもやもやしてる自分が子供みたいで、それもムカつく」
「いいんだって、そりゃ彼氏が美人と仲良くしてたら誰だって面白くないわよ、それが普通!」
「なまえはなまえにできることすればいいんだよ。彼氏さんなまえのことすごく大事にしてくれてるんだもん、信じてあげなきゃ」

 むくれた私にそう言葉をかけてくれた二人は、私の頭をわしゃわしゃ撫でた。信じてあげなきゃ、かあ。



[今日早く帰れそうや。寝んで待ってて]

 数日経って、土曜日の夜。侑士からそうLINEが入ってて、嬉しくてちょっと声が出た。最近は夜遅くて、先に寝てしまうことがほとんどだったから。しかも、明日はお休み。今週末を楽しみに仕事を乗り切ったと言っても過言じゃないくらい。(侑士の方が忙しいんだろうけど)
 
 ただいま、と侑士の声が玄関から聞こえた途端、急いで出て侑士に抱きついた。

「おかえりーっ」
「ただいま。なんや、かわええな」
「ふふ、ご飯出来てるよ」

 ちゅ、とおかえりのキスをすると、頭を撫でられた。やっぱり侑士に撫でられるのが一番好き。久しぶりのこの感覚が嬉しくて、口元が緩む。
 一緒のいただきます、で食べるご飯は何倍も美味しくて、正面で食事をしている侑士を見て口元が緩んだ。何ニヤけてんねん、って突っ込まれてしまったけど。なまえの味噌汁飲むん久しぶりやな、やっぱり美味いわ。なんてストレートに褒められて、ちょっと照れる。
 侑士のほうが疲れてるだろうから、侑士に先にお風呂に入ってもらって、その間に洗いものをした。夕飯もお弁当も残さず食べてくれて、心があったかくなる。そう思っていた時、スマホの着信音が鳴った。

「あ、侑士のか・・・あ」

 テーブルの上に置きっぱなしにされた、侑士のスマホだった。着信中の画面が表示されているのを見て、きゅっと心の奥が掴まれる感じがする。表示されていた名前は、あの女の人の名前。侑士のスマホを見つめながら、動けなくなってしまった。いや、勝手に出ちゃダメだし、どうしようもないんだけど、でも。もやもやしながら画面を見つめているうちに、電話が切れてしまった。

「なまえ、上がったで」
「え、あ、うん! じゃあ私もはいってくるね」

 侑士の声にドキッとして、そそくさとその場を離れた。別に悪いことなんてしてないのに、なんなんだろうこの感じ。
 お風呂に入っている間も、電話のことが気になって仕方がなかった。わたしがこうしている間に、かけなおしてるのかな。仕事の話、だけじゃなかったらどうしよう。そう思っていたらゆっくり湯船になんて浸かっていられなくて、いつもよりずっと短い時間でお風呂から出てしまった。

 リビングのドアをそっと開けると、侑士が電話してるのが見えた。やっぱり、かけ直したんだ。テーブルの前に立って話してる侑士の横顔を見る。表情が柔らかくて、話しながら少し笑った。侑士の口から彼女の名前が出て、やっぱりあの人と話してるんだと確信する。とうとう我慢出来なくなって、侑士のところに詰め寄った。

「あぁ、それで・・・あ」
「・・・・・・」
『あれ、どうかしました?』

 後ろからぎゅ、と抱き着いた。本当はスマホを取り上げちゃいたいくらいだけど、そこまで強くは出られなくて。でも、やっぱり面白くない。侑士の背中に、顔を埋めた。
 くす、と小さく笑ったのが上の方から聞こえた。ぎゅっと侑士のパジャマを握り締めると、その手のうえにスマホを持っていない方の手を添えられる。大きくて暖かい手の感触が心地良くて、抱きしめる力を強めた。

「じゃあ、その件はそれでよろしく頼んます。そろそろ切るわ」
『あ、はい。でも、・・・もうお時間無いんですか?』
「堪忍な、今からうちののご機嫌取らなアカンから」

 侑士はプツ、と通話を切ると、スマホをテーブルに置く。私の腕を掴み緩ませて、ぐるっと回って正面から抱き締めてきた。

「どないしたん」
「・・・別に」
「なんやねん、めっちゃむくれとるやん。さっきまであんなに機嫌良かったんに。」

 尖らせた唇を指先でつつかれる。なんて言えばいいのかわからなくて黙り込んでいると、顎を掬われてそのまま唇を奪われた。

「ヤキモチ?」
「ち、違う」
「気になっとんのやろ、あの子のこと」

 あの子、なんていう優しい言い方にまた胸がギュッと掴まれる。目を逸らして視線を落とすと、はぁ、と侑士は息を吐いて、私の頭を抱え込むようにして胸に押し付けた。

「別に隠さなくてもええやろ。気にしとるん丸分かりやし、この間かてどんな子やって聞いてきたやん」
「それはその、なんとなく聞いただけだし、別にヤキモチとかじゃ・・・」
「じゃあ、今からまた電話してもええ?」
「や、やだ!」

 慌ててバッ!と顔を上げると、侑士が途端にぷ、と噴き出した。わ、笑われた・・・

「そない泣きそうな顔せんでも。冗談やって。可愛えなぁ」
「か、からかわないでよ・・・」
「安心し、俺なまえ不足で死にそうやもん。今夜はたっぷり構ったるからな」

 そう言うと、侑士はひょいと私の身体を持ち上げた。きゃ、と小さく声が出て、侑士の身体にしがみつく。寝室に移動して、ダブルベッドにゆっくりと寝かせられた。
 唇を合わせて、口内に侑士の舌が入り込んでくる。必死に舌を絡ませながら侑士の首に腕を回すと、侑士の手がいやらしい手つきで私の身体を這い回った。こんな風に触れられるのは久しぶりで、身体が余計敏感になったように感じる。ゆっくりと唇を離されて、唾液の糸が二人の間を伝う。キスの余韻にうっとりしていると、侑士が薄く笑った。

「かわええな」

 首筋に唇を押し付けながら、侑士の手が私を脱がせて、あっという間に生まれたままの姿になってしまう。侑士はまだ何も脱いでないのに自分だけ裸なのが恥ずかしくて、侑士のパジャマのボタンに手をかけると、侑士の手が私のおっぱいを掴んだ。

「相変わらず可愛えおっぱいやな。乳首もこない勃たせて」
「ひゃ、っだって、久しぶりだから・・・」
「久しぶりやから、いつもより感じてまうん? せやったら、今日はたくさん気持ちよぉなろな」

 すると侑士は乳首に吸いついて、もう片方は指先で弄りはじめた。甘い刺激に息が上がる。舌でペロペロ舐められるのが気持ちよくて侑士の頭を撫でる。時折甘噛みされて、身体が小さく跳ねた。

「なんでヤキモチ妬いとるの隠すん?」
「んぅ、っ子供みたいで、恥ずかしいから・・・」
「ふうん。ちゅ、俺は妬いてくれてたん嬉しかったんやけど?」

 もう片方の乳首に舌が移って、ちゅうっと吸われる。両手でおっぱいを優しく揉まれ、乳首も弄ばれて、下のほうがきゅんと疼いてきてるのを感じた。

「だって、侑士ばっかりいっつも余裕そうで、わたしばっかり・・・」

 そこまで言って、恥ずかしくなって言葉に詰まる。出会った時からずっと、侑士は大人っぽくてわたしなんかよりずっと余裕そうにしていた。それなのに私はすぐ不安になるし、今回みたいに嫉妬とかしちゃうし。私ばっかり余裕がなくて悔しい。

「・・・俺かて、別にいつも余裕ってわけやないんやけどなぁ」
「・・・?」
「俺やって、なまえが他の男と仲良うしとったら妬くし、最近仕事中なまえのことばっかり考えとるし。」
「え、えっと」
「最近いちゃいちゃできてへんよなぁとか、なまえの飯食いたいなとか。帰ってきて可愛え寝顔見るんもええけど、やっぱり寂しいとか」
「きゃ、っ」

 侑士の手がすっと太腿の方に回った。いやらしく撫でまわされ、きゅんとおまんこが疼く。

「最近えっちも出来てへんかったし。なまえがやらしくしとったら、余裕なんて持ってられへんし?」
「っひゃん!」

 侑士の指先が、おまんこを掠めた。優しく触れられて、息が上がる。もうすっかり濡れてしまっているのが自分でもわかって、顔が赤くなる。侑士がニヤッと、妖しく笑った。
 侑士の指が二本、ゆっくりと挿入ってきて、ぎゅ、とシーツを握りしめた。するとその手を取り上げられて、侑士の手と繋がされる。

「可愛えな、なまえ・・・めっちゃ可愛えで」
「あ、っあん、ん」

 耳元でそう囁かれて、ねっとりと耳朶を舐められる。おまんこのなかで指がバラバラに動いて、甘い快感で全身とろけちゃいそう。侑士の指先がイイところに触れて、そこを重点的に攻められた。

「らめ、そこらめぇえきもちひ、きもちいのぉ」
「ここ気持ちええんやな? いっぱい気持ち良ぉなってええんやで?」
「っひゃあ、あぁあんっ出ちゃっ出ちゃう、ひあああぁっ!!!」

 ビクッ!!ぴゅっぴゅうっ!!! ぎゅう、と繋いだ手に力を入れて、身体を跳ねさせてイッてしまった。息が上がっている私の首筋にちゅ、と侑士が口付ける。

「こないに溢れさせて・・・見てみ、これ」
「や、見せちゃやだあ」
「やらし」

 侑士の手が私の液体でびっしょり濡れてしまっているのを見せられて、恥ずかしくて視線を逸らす。侑士が指を舐めて、クスリと笑った。

「俺も気持ちよぉさせて・・・?」
「あ、おっきい・・・」

 侑士に手を引かれて、服越しにおちんぽに触れさせられる。固く膨らんだそれにドキドキして、脱がせようとズボンに手をかける。すると侑士の手に遮られた。侑士も着ていたものを全て脱ぎ捨てて、再び私に覆い被さる。おちんぽの先端がおまんこにあてがわれて、きゅんとおまんこが疼いた。

「侑士、っ」
「なまえ・・・」

 ゆっくり、ナカに挿入ってきて、ぎゅっと目を瞑った。挿れる瞬間はいつも恥ずかしくて目を閉じてしまう。慣らしたけれど久しぶりだからか、いつもよりも締め付けてしまっている感じがした。
 薄く目を開くと、すぐ目の前に侑士の顔。侑士も目をぐっと閉じていて、眉を顰めていた。目を開けた侑士と目が合ってドキッとする。余裕、無さそうな、顔。

「動くで」
「あ・・・っあ、あぁん」

 侑士の腰が動き出して、身体をがっちり掴まれる。ナカで動くソレが気持ちよくて、身体を捩らせながら侑士の身体につかまった。どんどん身体を揺さぶられるスピードが早くなっていって、おまんこをぎゅっと締め付けてしまう。

「らめ、激しっあぁっゆーし、ゆーしっ」
「は、ええで、なまえ・・・めっちゃ気持ちええ、っ」

 侑士にキスされて、じゅるっと唇を吸われる。舌が口に入ってきて、上も下も犯されている感覚に何も考えられなくなる。

「は、っあらめ、イくっらめイくうぅっ」

 ぎゅううっ、と侑士に掴まる腕の力を強めて果てた。肩で息をしながら、侑士の顔を見る。

「ほんま、イきやすいななまえは・・・俺んこともイかして?」
「ん、っうん・・・わたしのナカで、イッて?」
「っ・・・」
「きゃっ・・・」

 ぐるん、と身体を反転させられて、腰を掴まれ上げさせられる。イッた余韻で力が入らず、ベッドに頭を押し付けていると、侑士が後ろからぎゅっと覆い被さって抱き締めてきた。そしてそのまま、腰が動き出す。

「ふあぁっあぁんっゆーし、ゆーしっ」
「は、なまえ・・・っ好きや、めっちゃ好きやで、なまえ、なまえ・・・」
「あぁあ奥ぅっあたってりゅぅっあぁっあぁ」

 奥へ奥へと突かれ続ける。あまりの刺激に身体が逃げそうになるけど、侑士に身体を掴まれてるから逃げられない。耳元で侑士の吐息と声が聞こえて、それも全て快感へと変わっていく。侑士の手が私のおっぱいに伸びて、激しく揉みしだいた。耳元で感じる吐息は荒くて、興奮してるのがわかる。ガツガツと犯されている快感に身体が痺れて、おまんこを更に締め付けた。

「ゆーしっゆーしらめっあぁあまたイッちゃう、イッちゃうのぉおっ」
「俺も、もうアカンわ、っはぁ、あ、イく・・・っ」
「ひあ、あぁああっあぁぁっ出てりゅ、出てりゅうぅううっ!!」

 びゅるっびゅるるるっ、ナカでおちんぽが脈打って、最奥で射精された。その感覚に痺れ、わたしもそのままイッてしまう。侑士のおちんぽが引きぬかれて、そのまま気を失った。



「んぅ、・・・あ」

 目が覚めると、私は侑士の腕枕で眠っていた。時計を見ると朝の四時半を指していて、自分が昨晩気を失ってしまったことを思い知らされる。なんだか喉が乾いてしまって、寝ている侑士を起こさないように、ベッドから抜け出た。

 ミネラルウォーターをコップに注いで口にする。まだ眠かったけど、少しだけ目が冴えた。昨晩の行為のせいで腰が痛くて、でもこの痛みも久しぶりだなぁなんて思ってしまう。最中の余裕の無さそうな侑士の顔を思い出して、ちょっとドキッとした。そんな時。

「わっ。・・・侑士」
「ん・・・」

 後ろから、突然侑士が抱き締めてきたのだ。いつの間に出てきたのか、全く気が付かなかった。侑士はまだ眠そうで、抱き締めながら私の首筋に擦りついてくる。髪の毛がくすぐったい。

「どうしたの、侑士」
「ん・・・どこ行ったんやろ思て」

 それだけ言うと、私の頬にキスをして、また首筋に顔を埋めた。寝起きの侑士がなんだか可愛くて、口元が緩む。つい最近の不安な気持ちが嘘みたい。侑士の腕に包まれながら、幸せな気持ちで胸が一杯になった。

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ゆかり様リクエストありがとうございました。
入れたいこと詰め込んだらめっちゃ長くなりました……
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