仮初夫婦物語 | ナノ

  2.秘密



「あ、総悟さん!」
「遅くなりやした」
「大丈夫ですよ、私たちもいま来たところですから」
「ありがとう、たま」

久し振りにあってもみんな変わらない。
ただ、それと同時に実感する。
俺はまだ、退が好きなのだと。
要は、退に未練たらたらなのだ。

「総悟さん、なにか飲みます?」
「…カフェラテ」
「相変わらず、可愛い趣味ですよね」
「ほんとアル、女の私より女々しいなんてネ」
「なんで、カフェラテ頼んだだけで、女々しい女々しい、言われなきゃなんないんでさ」
「女々しいから、女々しいといったまでネ!」
「まぁまぁ」
「ふふ、相変わらず仲よろしいですね」


それから、お茶しながら世間話なんかをして、
何故か学生だった頃を思いだし、「カラオケいこう!」と誰かがいいだし、飽きるまで歌い酒をのみ、二次会のようにうちに雪崩れ込んだ。
──そしていまに至る。


「総悟さん、私気になってたことがあるんです。」
「あぁ」
「なんで、退と別れたりしたんです?」
「…っ、別れる理由なんて、好きじゃなくなった以外にねェですぜ」
「ウソつき、いまでも好きなんでしょう」
「まったく、なんでそんなに察しがいいんですかねィ」

いっておくと、神楽は酔いつぶれて寝ている、退はそれを介抱してくれているので、この部屋にはいない。

「お二人をみていればわかりますよ」
「そんなに分かりやすいですかねィ…」
「伊達に、退の妻をやってるわけではないですから」

女ってのはやっぱりすげェ

「それで、理由教えていただけますか?」
「わかりやしたよ…ただ二人には秘密にしてくだせェよ」

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