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34.ルークの秘密 [ 35/72 ]


 ルークが、レプリカルークと判明しました。アッシュの愚かな発言のせいで。黙っていれば良かったものの、オリジナルと主張した挙句ルークを屑屑言うので強勢土下座させましたとも。
「アッシュが、オリジナルねぇ」
「そう言っているだろうが、この屑女が!!」
 胡乱気にアッシュを見やると、土下座したまま暴言を吐かれた。余程死にたいらしい。
「屑は、貴様だ!! お前が、本物のルークだと。戯言を抜かすもの大概にしろよ。どこの世界に、自国を襲撃し民を傷つける王族がいる。私がキムラスカの民だったら、貴様のような輩が王族に連なる者だと認めない。人を平気で傷付け労わることもなく奪取するお前が治める国など繁栄どころか滅びの道を歩むことになるだろうよ」
 グシャッと後頭部を踏みつける私に、シンクが尤もだと頷いている。
「フリングス少将、この事は内密にお願いしたのですが。キムラスカの内情に関わりますので……」
「勿論です。他言は致しません」
 事が事なだけに、フリングスも顔を引きつらせながら他言しないと約束してくれた。
「ルーク様、アッシュがこれ以上キムラスカの恥を晒す前に首をかっ飛ばしたら如何でしょうか? こんな屑生きてても仕方ありませんし」
 親指を立てて首を切る真似をする私に対し、ルークは複雑な顔を浮かべてそれはダメだと首を横に振った。
「流石に、オリジナルを殺すのは拙いだろう。つーか、ティアは俺のことまだルークって呼ぶのか? レプリカなのに?」
「ルーク・フォン・ファブレは、目の前にいる貴方様です。そこの劣化糞鶏ではありません」
 ドキッパリと断言する私に対し、ルークだけでなくシンクまでもがポカーンッと私を見つめている。
「誰が劣化だ!! 劣化しているのは、そこのく……」
「煩い。黙れ。寧ろ死ね。ディバインセイバー!!」
 アッシュの周囲に譜陣が浮かび強力な雷が容赦なく頭上に落ちる。すかさずファーストエイドを掛けHPギリギリの状態で生還させつつ、奴の鶏冠を掴んで顔を上げさせた。
「劣化してるのは、貴様の残念な脳みそだろうが。いい加減理解しろよ。学習能力がない奴だな」
「何だと!」
「本当のことだろう。レプリカは劣化していると言われているが、オリジナルよりも優れた能力を有している。お前の言うとおり10歳の時にルーク様が生まれたとしたら、実年齢は7歳だ。7歳が、17歳と周囲を思わせるように行動できると思うか? 彼は、それをやって退けている。また、剣術でも貴様よりもはるかに強い。7歳の時に、ソードダンサーを一撃で仕留められたか? 人柄でも才能でも貴様は劣っているんだよ、鮮血のアッシュ」
 あんまり鬱陶しいので思いっきり蹴り飛ばしたら気絶してしまった。全くもって本当に弱い男である。
 ルークしかり、シンクしかりレプリカは劣化している部分はあれど、オリジナルよりも優れたものを有していると私は考えている。強ち間違ってはいないだろう。
「ルーク様、ファブレ公爵に報告をした方が宜しいかと」
「分かってる。でも、海の上じゃあ連絡の取りようがないし」
「アリエッタは、コーラル城に置いてきましたしね」
 彼女には、救援部隊の護衛とコーラル城の警護を頼んである。万が一、瘴気が噴出してもフォースフィールドを歌えと叩き込んできたので問題はないだろう。
「戻ってからの報告でも構わないと思いますよ。どの道、アッシュは国家反逆罪で処刑は免れても幽閉されるでしょうし」
 もしくはルークの秘予言を成就するべく、アッシュがアクゼリュスに行かされる可能性もある。
「アッシュの件でさらに膨れ上がった損害賠償を一括請求してディストの身柄も押さえてしまいましょうか。教団に眠る創世暦時代の書物や譜業を横流しさせるのもありですよ」
 金にはならないけどと宣えば、シンクとルークは盛大に顔を引きつらせ、フリングスは何故か胃の辺りを押さえて冷や汗をかいていた。

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