小説 | ナノ

LOVEハグ 前編 [ 14/23 ]

朔夜様、梓様、幸子様リクエストありがとう御座いました。
ネタが被っておりましたので、それぞれの重要萌ポイントを盛込んだ小説にさせて頂きました。
勝ってして申し訳ありません。個々で書くよりも色々と想像が膨らんで、エロの神様が降臨なすったので大暴走を所々してます。
避妊行為はしてませんのでご注意下さいませ。
主人公が、ちょっぴり……大分大変な目にあってますが楽しんで頂ければ幸いです。
当作品は、本編となんら関係ありません。


 私って何でこう巻き込まれ体質なんだろう。バレンタインデー目前で、誰にチョコを上げるかで女の子は盛り上がっている。
 それは別に季節的な風景なので問題はないのだが、私にそれを求められても正直困るのだ。
 バレンタインを明日に控え、清十字怪奇探偵団の女子メンバーが集まっていた。もちろん、部活そっちのけでだ。
 男子には、『明日は、バレンタイン! 女の子には色々と事情があるのよ!』とチョコレートを仄めかすようなことを言う巻の言葉に淡い期待を抱いた面々はそれ以上何も言わなかった。
 無理矢理男子を部室から追い出した後、チョコレートの話へと切り替わる。
「バレンタインどうする?」
「あいつらには連盟であげれば良いんじゃない?」
 男子の扱いが良く分かる一言に、私は乾いた笑みを浮かべた。
「しゃくらのは?」
 チョコレートと聞いて桜が敏感に反応を示す。
「もちろんあるわよ」
 デレッとした顔で桜の頭を撫でながら用意しているというカナに、
「カナさん、ありがとう御座います。私からも送らせて下さいね」
 お返しにチョコレートを送ると言ったら思いのほか喜ばれた。
「え? 良いの!?」
「ええ、昨日スーパーに行ったらバレンタイン以外でも友チョコや家族チョコなんてのが売ってたのを見て是非あげたいなって思ったんです」
 値の張るものは買えないが、私の手作りよりも既製品を購入した方がラッピングはされているし安上がりだったりするからお財布的にも優しい。
「カナだけずるい! 私らの分は?」
 鳥居の抗議に、私は思わずクツリと笑みを浮かべる。
「ありますよ。男性陣には内緒にして下さいね? 予算がないので用意できませんから」
「藍、愛してるーっ!!」
 巻が、問答無用で私を抱きしめる。ムギュッと彼女の豊満な乳に顔を埋める形になり、私は思わず顔を赤らめた。
「ま、巻さん胸当たってますぅ〜」
「初やつよのぉ〜。巻様の乳は気持ちよかろう? フッフッフ…」
「ひ〜〜ッ」
 慌てる私を他所に弄る巻から助けてくれたのは氷麗だった。ベリッと引き剥がし、今度は彼女の胸へとダイブする。
「何言ってるんですか! 私の方が気持ちいいに決まってます」
「氷麗ちゃん、競うところはそこじゃありませんから」
 突込みを入れるも黙殺されてギューッと抱きしめられる。カナの視線が滅茶苦茶怖いです。
「ママのおっぱいが、いちばんきもちいーよ?」
 爆弾を投下した桜の一言で、清十字怪奇探偵団の女子メンバーから胸を揉まれるという暴挙に出られる羽目になった。
 散々な目にあった私は、ゲッソリとした面持ちで机の上にうつ伏せになったのは仕方が無いと思う。
「清十字怪奇探偵団のバレンタインは決まったとして、問題は家なんですよね……。人数が多いし、全員分のチョコは用意できないし」
 憂鬱な気分で溜息を吐いていると、鳥居が名案が浮かんだのか知恵を授けてくれた。
「大阪のテーマパークで、キャラクターに『LOVEハグ』って言うとハグして貰えるイベントがあるって聞いたよ。チョコの代わりにハグしてあげたら?」
 確かに名案だ。私は、ガシッと鳥居の手を取りありがとうと満面の笑みを浮かべて言った。


 バレンタイン当日、清十字怪奇探偵団の男子メンバーにチョコレートの箱詰めを渡した後、私は夕飯の当番だからと言って(嘘)部活に参加することなく桜を連れて帰宅した。
 リクオには後で渡す予定だ。カナ達には、昼休み個別にこっそり渡してある。結構楽しみにしていたみたいで、ちょっと笑ってしまった。
 私は、桜を連れて屋敷にいる妖怪達にハグをして回った。一番最初の餌食は、三羽烏と烏天狗だ。
「あ、丁度良いところに! 烏天狗さん、LOVEハグです」
 フヨフヨと飛ぶ烏天狗の身体をキュッと抱きしめると、彼は物凄く焦った顔で私の腕の中から逃げようとしている。
「な、何やってんだ藍」
 烏天狗だけでなく、慌てるトサカ丸に桜がギュッと足元にしがみ付いた。
「んと、バレンタインなの」
 桜の言葉では要領が得なかったのか首を傾げる面々に、私は説明を加える。
「今日は、バレンタインと言いまして女の子が好きな人に告白する日なんです。他にもお世話になってる人に感謝をしたりする日だったりするんですよ。本当はチョコレートを贈れれば良かったんですが、お金がないので某テーマパークでされている行事を真似てみました」
「それが、抱きつく行為なのか?」
 少々呆れた目でササ美が私を見ていて、そうですと頷くとあからさまに大きな溜息を零された。
「ササ美さんもしていいですか?」
「断る理由はないしな」
「LOVEハグです」
 キュッと抱きしめるが、逆に抱きしめられている感がしなくもない体制に二人して笑ってしまった。暫く抱き合った後、黒羽丸とトサカ丸にもハグをする。
 少し顔が赤い気がするが、ササ美にいつもの事だと言われたので気にしないことにする。
 私が、LOVEハグしていたことが急速に奴良邸に駆け回り何故か行列が出来ていた。
 皆にハグして回るのは結構な時間を要し、ぬらりひょんからセクハラを受けるハプニングがあったが何とか全員にハグ出来たと思う。
 桜は、はしゃぎ疲れたのか海女の部屋でお昼寝をしていて漸く一人の時間を満喫できた。
「あ、首なしさんにチョコ渡さなきゃ」
 映画のお詫びも兼ねて買ったチョコレートを持参し、首なしのところへ行くと相変わらず庭で掃き掃除をしていた。
「首なしさん、Loveハグです」
 キュッと彼に抱きつくと、ビックリしたように目を大きく見開き私を凝視している。男の人としては、そんなに背が高い方ではないと思うけど身長143センチの私からしたら長身だ。顔を見上げて話すのは結構大変で首が痛い。
「急に何? どうしたの?」
「バレンタインなのでハグしてみました。後、この間の映画のお詫びです」
 可愛らしくラッピングされた箱を手渡すと、彼は首を傾げた。どうも奴良組の妖怪達は、俗世のことをよく知らないようだ。
「本来、女の子が好きな男の子に告白と一緒にチョコレートを送る日なんですけどね。最近じゃあ、それとは別に感謝している人にも送るようになってるんです。折角の映画一緒に見に行けなかったのでそのお詫びです」
「そっか、ありがとう」
 穏やかな空気が流れていたのだが、張詰めたドス黒い空気と低い声に遮られる。
「……何してるの?」
「お帰りなさいませ、若」
 不機嫌なリクオを前に、首なしは平然とした顔で恭しく頭を下げている。長年彼に仕えていると動じなくなるのだろうか。
「藍、来い」
「リクオ様?」
 私の手を掴んだかと思うと、無表情な顔で手を引っ張り庭を横切り自室へと連れ込まれた。 

*prevhome#next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -