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チョコレートの行方.4 [ 29/145 ]


 ぬらりひょんにペロリと食べられた翌日、我が物顔でお持ち帰りされた私に待ち受けていたのは雪麗の吹雪でした。
 私に対してではなく、ぬらりひょんに対して攻撃する雪麗は本当に綺麗で格好よくうっかり出てしまった言葉が又波乱を呼んだ。
「……私、結婚するなら雪麗さんのお嫁さんになりたい」
 ピタッと止んだ攻撃と同時に、雪麗にギューッと抱きしめられる。ひんやりとした体と大きく柔らかい胸が気持ち良い。
「可愛いこと言うじゃない」
 満面の笑みを浮かべる雪麗に、私は見惚れているとぬらりひょんの怒号がした。
「何で雪麗なんじゃ! 昨日、あれほど愛し合ったというのに!!」
「一方的に佐久穂を襲ったの間違いでしょう」
 サクッと突っ込みを入れる雪麗に私はその通りだと深く頷いた。
「納得いかん! 佐久穂は、ワシを受け入れたんじゃ。ワシの嫁になるのが筋ってもんじゃろう」
「無理矢理受け入れさせたの間違いです!」
「それでも受け入れたことには変わりない。ワシの嫁になるんじゃ!」
「嫌ったら嫌です」
 雪麗の背中に張り付きながら言い争う私に、彼女は心強い言葉をくれた。
「私が傍に居る以上は、総大将の好きにはさせないわ」
「雪麗さん……大好きです」
 盛り上がる私達を他所にぬらりひょんの喚きは無視だ。
 チョコレートの一件で狒狒と牛鬼の私を見る目が変わってしまった。
 ぬらりひょんに負けず劣らずモーションを掛けてくるので、それが新たな波紋を呼ぶことになる。
 平穏無事に過ごしたいというささやかな願いは遥か彼方へ飛んで行ってしまったようだ。
 今日も今日とて雪麗に張り付きながら、ぬらりひょん達と格闘する私だった。

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