小説 | ナノ

act63 [ 64/199 ]


 一難去ってまた一難。ぶっちゃけありえない……某アニメの主題歌が頭の中を駆け巡る。
 今まさに、あり得ない状況を作り出したリクオに対し手が出ても許されると思う。
「……おい、何で俺がテメェの用事に付き合わなきゃなんねーんだよ」
「カナちゃんにお願いしようとしたら、速攻で邪魔したでしょう」
 ただ生徒会室の整理を頼んだだけなのに、棚にあった学校七不思議の冊子を見つけてからこれだ。
「当たり前だ! 家長をエロ妖怪の餌食にしてたまるかっ!!」
「なら、文句言わずに手伝ってよ。カナちゃん、着替えた?」
 教室の中で着替えをしているカナに、リクオを声を掛ける。
「う、うん」
 ヒョッコリと顔を出したカナの姿は、上下共にジャージである。大きさは合っておらず、ブカブカだ。
「やっぱり、ジャージ大きかったね」
「そりゃそうだろう。俺の方がデカイんだから」
 男にしては華奢だが、標準の女よりはゴツイ。カナは、折り畳んだ制服を私に差し出す。
「はい、どうぞ」
「奴良、お前着ろよ。言いだしっぺだろう」
 リクオの脇をガスッと肘鉄を入れるが、あっさりと交わされる。
「僕より清継君の方が似合うから」
「そうよ、何でリクオ君に制服を貸さなきゃいけないのよ」
 嬉しくない評価と自分の制服をリクオには着せたくないカナの複雑(?)な乙女心に、私は大きなため息を吐く。
「……覚えてろよ」
 ここで嫌だと言えば、リクオは氷麗辺りを連れ出そうとするに違いない。
 渋々カナから制服を受け取った私は、入れ替わるように教室に入り制服に着替えた。
 ウエストが少し大きいのと、丈が短くてミニスカ状態だ。
 ガラッと教室のドアを開けると、あんぐりと口を開き固まる二人に私は眉を潜める。
「……言いたいことがあるなら言え」
「制服変えたのに違和感が無い。……負けた」
 ガクッと肩を落とし凹むカナに、私は嬉しくないとぼやく。最近、女装率が非常に高い気がするのは、誰かの陰謀か?
「でも、スカートの中身がトランクスなのは萎えるよね」
 ピラッとスカートを捲りながらボソッと呟くリクオに、私の回し蹴りが炸裂した。
「何晒すんじゃ! このド変態がぁああ!!」
「お行儀が悪いよ、清継君」
 ニヤッと笑うリクオに、私はブルブルと肩を振るわせる。カナは、何故私が怒っているか分からないようだ。
「カナちゃん、清継君の制服頼むねー。好きに着て良いよ」
「本当? 写メ取って自慢しちゃおう♪」
 勝手に人の制服を着て良いだとか宣うリクオに、私は唖然とする。
 私は、さっさと終わらせてリクオをフルぼっこにしようと心に誓ったのだった。

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