小説 | ナノ

奥様は14歳.6 [ 58/145 ]


 嫌な予感的中。夜も深け、珱姫が寝たのを確認した私は渡殿に出て月を見ていた。
 ゾクッと寒気を感じ振り向くと、ご立腹しているぬらりひょんが立っていた。
「総大将様」
「佐久穂、こりゃ一体どういう事だい」
「えっと……」
 冷や汗を掻きながら言い訳を試みるが、何を言ってもぬらりひょんの怒りを増幅しそうなので素直に謝った。
「済みません」
「謝れば済むと思うなよ。最近、こそこそしとると思ったら人間のところに入り浸りやがって……。帰るぞ」
 グイッと腕を引っ張られ、慌てて身体を引けば火に油を注ぐ如く、ぬらりひょんの怒りを増幅させてしまった。
「帰りたくないってのかい」
「いえ、そうではなく何も言わずに帰れば心配されます」
 慌てて言い訳を試みるが、彼は鼻で笑い私の身体を抱き上げたかと思うとそのまま屋敷の外へと飛び出した。
「総大将様!?」
「黙ってろ。舌を噛むぞ」
 俵担ぎにされ運ばれること数分。普段拠点にしている宿とは別の宿に入り、部屋に押し込められた。
 床に引き倒され馬乗りになるぬらりひょんに、私は一体何がどうなっているのか頭がついていかずポカンと彼を見上げた。
「随分と余裕じゃな」
「あの……何故私は押し倒されてるんでしょう」
「この流れで察しろ。空気を読め。まあ、そんなところも可愛くて好きじゃがなぁ」
 そこまで言うと、ガクッと肩を落とし思いっきり溜息を吐いていた。
「私も総大将が好きですよ」
 のほほーんとそう返せば、ボンッと顔を真っ赤にしガシッと肩を掴まれ起こされる。ううっ、目が回る。
「そりゃ本当か?」
「ええ、本当です」
 尊敬していますと続けようとしたら、口をふさがれた。何度も重ねるだけの口付けに、私は目を白黒させる。
 息苦しくて文句を言おうとしたら、ぬるりとしたものが口の中に入ってきて驚いた。
「う、んんっ…ぁふん…」
 ねっとりと舌を絡め取られ、きつく吸い上げられる。上あごや歯茎を舌が這い回り背中をゾクゾクさせた。
 息苦しさに涙が自然と溜まる。何でという気持ちが胸いっぱいに広がるが、聞こうにも口付けを一向に止めないぬらりひょんに私は早々に諦めた。
「……はぁ…ん…」
 気が済んだのか、あの激しかった口付けは終わり、チュッチュッと瞼や頬に口付けを落としている。
 あー、苦しかった。息苦しさから解放された事にホッとしていた私だったが、なんかスースーするなと思ったらいつのまに人の帯を解いたのか、胸が剥き出しになって驚いた。
「ヒャウッ!? ちょっ……何してるんですか」
 慌てて前を隠そうとするが、手を掴まれ阻まれる。ギラギラと欲情した目で、彼は綺麗に笑い宣った。
「好いてる者同士することは一つじゃろう」
 好きだけど、好きだけど……貴方と同じ好きではないんです! とは言えず、私は成す術もなく貞操を奪われる羽目になったのだった。 

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