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330万打SS 神威様リクエスト@ [ 2/34 ]

神威様、企画参加&リクエストありがとう御座います。
ジブリな世界へトリップするというお話でしたが、書くのは難しいと判断し急遽ゲーム幻想水滸伝Uの舞台へトリップするお話に変更致しました。
ご理解頂ければ幸いです。


俺 in ワンダーランド


 何が起こっても動じなくなったのは、リクオやぬらりひょんと関わってきたせいだと思う。
 海外に旅行へ行くのと変わらないくらいに、次元や時代、果ては世界までも超えてしまうと尚更だ。
「俺、奴良の蔵に居たはずなんだがなぁ」
「ご主人様、現実逃避しても状況は変わりません」
「幸子の言う通りじゃ。しかしのぅ、佐久穂はもうちと学習せんといかんぞ。これで何度目じゃ」
 スパッと幸子の容赦ない突っ込みに、私はがっくりと肩を落とし項垂れる。如意輪観音は、止めを刺すかの如く容赦なく私の心を抉った。
「いくら蔵掃除したら欲しいもんやると言われても、毎度何かしらの面倒ごとに巻き込まれたら世話ないですよ、ご主人様」
「幸子……頼むからそれ以上言わないで」
 腕を組み仁王立ちする幸子に、私は両手で顔を覆いサメザメと泣きながらストップをかけると大きな溜息を吐かれた。
「如意輪観音様、ここはやはり本の中ということになるのでしょうか?」
「恐らくな。時間が経てば、元の世界に引っ張られて戻るじゃろう。それまで食い歩きをせねば!!」
 拳を振り上げ己の欲望を主張する如意輪観音を見て、本当は彼女がこの世界に連れて来たのではないか勘ぐってしまいそうになる。
「素敵です!! 私もお供します!」
 美味しいものと聞いて目をキラキラと輝かせる幸子は、とっても可愛いのだが世界が違えば通貨も違うことに気付いて欲しい。
「あー……お二人さん。この世界のお金持ってないだろう。レストランにも入れないぞ」
「何を言っておる。そこは、お前が賭博場へ行って稼げばようかろう」
「そうですよ。ご主人様ならあっという間に有り金巻き上げて小金持ちになれます!」
 賭博で稼げと命令する如意輪観音とグッと拳を作って嬉しくない太鼓判を押す幸子の嫌なタッグに私は泣き崩れた。
 最近、如意輪観音に感化されてきたのではないかと危惧していただけあって幸子の変貌は心がやさぐれた。
 元々彼女は利己主義なのだが、自分の前だけ猫を被っていたなど知る由もなく、私は二人に促されるまま人を探す為、森を抜けることにした。


 ――のだが、悲しいかな進んでも進んでも目の前は森ばかり。行く先々で出逢うのは、人ではなく人外。動物と同じカテゴリーに分類してよいのか迷うものもあるが、妖怪とは異なる種族だということは分かる。
 べったりと甘えるように身体を摺り寄せてくる色とりどりの毛玉たち。いや、うん……可愛いのだけれど出会い頭に飛び掛られじゃれ付かれてからこれだ。
「何で懐かれているんだろう」
「佐久穂の能力が如何なく発揮されておるのぅ」
「ご安心を。幸子が、この畜生共を成敗してくれます」
 彼女は、ジャキッとどこから取り出したのか謎な刀を振り上げ毛玉に切りかかろうとしている。止めろよと如意輪観音にSOSを送ってみるが、彼女はのほほーんと傍観している。
「折角可愛い顔が台無しだぞ、幸子。良い子だから刀から手を放そうな」
「ご主人様がそういうなら幸子は我慢します
 ゴロゴロにゃんにゃんと胸に懐く幸子の背中を軽く叩きながら、ハァと大きな溜息を零した。
「佐久穂の誑しは天武の才じゃのう。そこの毛玉を使って町まで道案内させてはどうじゃ」
「人語を理解するか?」
「やってみんことには何とも言えんじゃろう」
 何ともアバウトな提案に私は、代替案も浮かばず如意輪観音の言葉に従うことにしたのだった。

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