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330万打SS kay様リクエスト [ 3/21 ]

ジェイドに恨みを持った襲撃犯を同行者が罵倒し続ける様子を見たルーク+ノエルが彼らを見限ってパーティーから抜ける…というお話ですが、この手の話は始めてなのでご希望に添えているかどうか不安です。お納め下さいませ。



 アクゼリュスが崩落したのを切欠に、ルークは拒否権もなく世界を救う旅を強要されていた。
 ジェイドが軍部に用事があると言い出し、ケセドニアの軍部に訪れていた時のことだった。
 手のひらサイズの缶らしきものが、部屋の窓ガラスを割り入ってきたかと思うと白い煙を噴出しあっという間に部屋を覆ってしまった。
「な、何だ?! げほっごほっ」
 ルークは、突然のことに驚きつつも口元を手で覆いながらそれ以上煙を吸わないように心がけた。
「くそっ、前が見えねぇ」
「ルークさん、これは催涙弾です!!」
 煙で前が見えないだけかと思っていたら、次々と溢れる涙にそれが催涙弾と気付いたノエルが声を上げた。
 暫くすると白い靄は晴れ、視界が戻るが目を押さえ蹲る仲間の姿があった。
「死霊使いジェイド覚悟!」
 ルークと変わらない年頃の少女が、振り上げた短剣をジェイド目掛けて振り下ろそうとしていた。
 ジェイドもそのことに気付いていたのか、それを難無くさけ逆に少女の動きを封じた。
「おやおや、随分と威勢のいい身の程知らずな襲撃犯ですねぇ」
「その制服、アスター殿のところのメイドですわね。分かってますの? 貴女は、マルクト駐屯地に襲撃したのですわ。マルクトに敵対行動をしたのですのよ。」
 エンジェルブレスで状態異常を回復させたナタリアが、目を吊り上げて襲撃をした少女に向かって怒鳴りつけた。
「何言ってるの。私は、この男を狙っただけよ!」
「はぁ? 何言ってんの!! 催涙弾投げ込んだ挙句、大佐を殺そうとしておいて言い逃れする気?」
 怒りの形相で甲高い声で喚くアニスに対し、少女はフンッと鼻で笑う。
「私が狙ったのは、この男ただ一人って言ってるでしょう!! マルクトに敵対行動なんてしてないし、ましてや襲撃なんてしてないわ。失礼なことを言わないで」
「頭がおかしいんじゃないのっ!! それが襲撃だって言ってんだろうがぁぁあっ」
 興奮したようにバンバンと机を叩くアニスに、ガイがエセフェミニストを発揮させた。
「まあまあ、アニスも落ち着いて。彼女にも何か事情があるんだろうし話は聞いてやらないと」
「ガイ、そういう問題じゃないわ! 幸い催涙弾だったから良かったものの、これが手榴弾や毒ガスだったら私達まで死んでいたかもしれないのよ! 人を巻き込むなんて何て人なの!!」
「巻き込んでないわ!! 大体、貴女たちがそんなところに居るの悪いのよ。それに貴方達に理由を話したところで理解できると思えないわ」
 眉間に皺を刻みながらガイを諌めるティアと彼女の言葉に反論する少女。ルークは、その情景がある日の自分とティアに重なって見えた。
「まだ、そんな戯言を!! ここには、王族や伯爵もおりますのよ。貴女がしたことは、死罪になってもおかしくないくらいの大罪だということに気付きなさい」
 ナタリアの言葉に、ルークは冷めた目で彼らを見て言った。
「そいつがしたことが死罪なら、ユリアの子孫を差し引いてもティアが死罪にならいのはおかしいだろう」
「ルーク! あの子と私を一緒にしないで頂戴」
「そうだぞ。ティアは、お前をちゃんと送り届けて奥様に謝罪し許されたじゃないか。彼女とは全然違うだろう」
 ルークからしてみれば、目の前の少女もティアも同じ犯罪者としか見れない。
 謝罪すれば許されるなら、法律なんて存在しない。どうしてそんなことも分からないのか。
「ティアもナイトメアを使って俺の家に侵入したじゃねぇか」
「あれは、無関係な人を巻き込まないようにしただけって何度も説明したでしょう!」
「ユリアの譜歌は、譜術にも匹敵する威力があるんだろう。ナイトメアで何度も魔物に留め刺しておいて言い訳がましいんだよっ。ヴァン師匠を庇った時に起きた擬似超振動でマルクトに飛ばされた時も、俺のせいにしたじゃねぇか!」
「あれは、ルークが邪魔しなければ超振動なんておきなかったのよ!!」
 そう声高らかに叫ぶティアを見たノエルが、震える声で言った。
「……何を言ってるんですか。ティアさんがしたことは、れっきとした犯罪です。彼女と一緒……いえ、それ以上に酷いです。ルークさん、彼らは異様です。行きましょう。一緒に居たら私達まで同類と思われてしまいます」
「―――そうだな」
 ノエルの言葉にルークは頷き部屋を出ようとするが、ティアの罵声が背後から飛んで来た。
「ルーク、逃げるつもり!? 貴方変わるんじゃなかったの!? ちゃんと罪を償いなさいよ」
「アクゼリュスの件は、俺のやり方で罪を償うさ。お前らも人のせいにするのを止めて罪を償えよ」
 ルークは、冷めた目で仲間を一瞥した後にノエルだけ連れて部屋を出て行った。
 ルークとノエルがパーティから外れるも、ティアたちの態度は変わることは無かった。
 どうせ直ぐに戻ってくると踏んでいた彼らは、襲撃した少女を軍部に引き渡した後、何事もなかったかのように世界を救う旅に身を投じたのだったが、戦闘の要と移動手段を失くしたことで行き詰まり町外れで魔物に襲われているところを偶々通りかかったギルドの人間に助けられる事となる。
 一方ルークは、グランコクマに行きピオニーに事の経緯を話しアスラン・フリングスを借り受けることに成功。キムラスカに戻りジョゼット・セシルを仲間にし、その足でヴァン・グランツの首を切り落としに向かったのだった。

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