小説 | ナノ

お返しは・・・ [ 3/6 ]

今日はクリスマス。
清継君の号令で清十字怪奇探偵団の皆は、清継君の家に集まった。
相変わらず、大きな洋風の屋敷である。
クリスマスという一大イベントに数えられる日にも関わらず皆が集まったのは、すごいご馳走が出る、という事だったからだ。
清継君からのクリスマスプレゼントは、女の子達はバッグ。男の子達にはカバンだった。
巻さんが一番期待していたものだったが、悪い意味で裏切られた。
貰ったバックはブランドものでも、デザインが最悪だったからだ。
うん。どう見ても普通のバックの形をしてない。えっと、何の妖怪の形だろ?
「き〜よ〜つ〜ぐ〜! あんた、マジ最低ぇええー!」
バックの形に首を傾げる中、巻さんは呪うように清継君の名前を呼ぶと、首を締め上げガクガク揺さぶる。
それに泡を吹く清継君。
「巻さん、そ、それくらいでいいよ!」
「清継君が白目剥いてるわ!」
気が付いた私達は、慌てて必死に止めた。
ま、巻さん、強い!
と、言うか、清継君。女の子へのプレゼントぐらいは、妖怪から離れましょうー
そんな風にどたばたした感じのクリスマスパーティは進んで行き、辺りが暗くなる頃にやっと終わった。
夜道は女の子だけじゃ危ない、という事で、リクオ君と氷麗ちゃん。そしてカナちゃんの3人と帰る事となる。
アパートまで送って貰い、そこで皆と別れた。
住んでいる2階の部屋を見上げるが、お母さんは帰って無いらしく、部屋は真っ暗だ。
ちょっと寂しさを感じ小さく溜息を付くが、働いてくれてるお母さんに悪い、と思い直し首を振る。
そして、部屋に戻ったら宿題しようかな、とつらつら思いつつカギを開けた。
と、居間の方でシャッとカーテンを引くような音が耳に聞こえて来る。
あれ? お母さん、帰って来てる?
もしかして寝てるのかな?
私は靴を脱ぎ、狭く短い廊下を通ると、居間と廊下を仕切っている扉を横に引いた。
部屋は外から見た通り暗い。
「お母さん?」
「お、帰ったのか? よう。遅かったじゃねぇか……。佐久穂ちゃん」
え? この声って…
吃驚して声がした方に視線を移すと、ベランダを仕切るガラスサッシの所に金色に目を光らせた鯉伴さんが立っていた。
カーテンは閉められているが、カーテンの隙間から漏れる外の電気の灯りに輪郭が浮き彫りになる。
鯉伴さんは驚いて言葉が出ない私に構わず、電気を付けるとちゃぶ台の傍に座った。
そしてまだ廊下と居間を仕切っている扉の傍に佇んだままの私を見上げ、ニッと笑った。
「いつまでもそこに立ってると、足が棒になっちまうぜ?」
「あ……」
その言葉にようやく自分がまだ立ったままだった事に気付く。
突然の訪問でも、鯉伴さんはお客様だ。お茶出さなくちゃ!
「ごめんな、さい! すぐ、お茶持って、来ます!」
慌てて持っていた荷物をその場に置くと、台所に行こうとするが鯉伴さんの声に止められた。
「おいおい、オレは別に茶ぁ出して欲しい訳じゃねぇ…。佐久穂ちゃん。ちょいとこっち来てくんねぇか?」
「は、い?」
私は手招きされるまま、鯉伴さんの前にちょこんと正座をする。
首を傾げていると鯉伴さんは私を上から下までマジマジと見た。
「今日はいやに着飾ってんじゃねぇか。でぇとだったのかい?」
「え? ううん。友達のクリスマスパーティに行ってました。」
「へぇ……、くりすますぱーてぃ、ねぇ?」
「あ、鯉伴さんも知ってる子の家でです。ずっと前奴良家にお邪魔した天然パーマの男の子なんですけど、その子の家に皆で集まって……。クリスマスパーティしたんです」
「……楽しかったかい?」
「はい!」
皆との騒がしくも楽しかった時間を思い出し、思わず笑顔になる。
すると鯉伴さんは優しい顔つきになり私の頭を撫ぜた。
が、触れられたとたん何故か心臓がドキドキとしだす。
え? なんで?
自分の心臓が何故早くなったのか判らず、心の中で首を傾げていると鯉伴さんは私の頬に手を滑らせる。
「佐久穂ちゃん……。ちょいと目ぇ瞑ってくんねぇか?」
「あ、はい」
私は素直に目を閉じた。
するとフッと頬から暖かい手が離れ、今度は顎を支えられると唇の上を指がツッとなぞる。
何をしているのか判らず不思議に思っていると、「目ぇ開けていいぜ……?」と言われ目をパチッと開けた。
すると至近距離に鯉伴さんの顔があった。
「わっ!?」
吃驚して思わず鯉伴さんの胸を押してしまう。
「なんで驚いてんだい? 佐久穂ちゃん」
「え? あの、……」
反射的にやってしまったので、言い訳が思い浮かばず下を向いてしまった。
くっと小さく笑う声がすると鯉伴さんに顎を掴まれ、顔を上げさせられた。
そしてどこからか取り出した手鏡を見せられる。
そこには、いつもと違う自分の顔が映っていた。
細い眉、少し丸い目。そして小さな鼻は変わりない。
唇だけが鮮やかな紅に染まっていた。
紅に染まった唇は艶やかな光を帯びていた。
それだけの事なのに、まるで違った大人の自分が居るみたいだった。
「鯉、伴さん……。こ、れ……」
「ああ……。くりすますぷれぜんと、ってヤツだ。良く似合ってるぜ……」
鯉伴さんは私の頬を撫ぜながら、目を細める。
その動作に何故か顔に熱が篭もり出した。
「あ、りがとう、ございます……っ」
「どういたしまして、だ。だが、礼の仕方教えたじゃねぇか。忘れちまったのかい?」
艶やかな声で囁かれる。
う、え!? これもお礼しないといけないのー!?
は、恥ずかしい!
で、でも、素敵なプレゼントをくれた鯉伴さんにはお礼をしたい。
しばらく心の中で葛藤したが、結局恥ずかしさよりも感謝の気持ちが上回った。
私は鯉伴さんの端正な顔を見返すと、顔を近付けた。
自分からキスをするのは、いつまで経っても慣れない。
すごく気恥ずかしい。
私は鯉伴さんの薄い下唇そして上唇に舌を這わす。
緩んだ唇の間に舌を押し入れるとそのまま口内へ招き入れられた。
触れた舌が熱い。
その熱さが、触れた箇所から徐々に身体中へと広がって行く。
私は動かない鯉伴さんの舌を自分の舌で舐め上げ擦った。
ぬるついた感触が、身体をゾクゾクとさせる。
「ん……」
くちゅっと音を立てさせながら、舌を蠢かせるが、上手に絡められない。
2つの舌が擦れ合うだけ。
もっと深く舌を挿し込まないとうまくいかないのかな…?
私はそう考え、鯉伴さんの膝にそっと跨ると舌をもっと伸ばしやすいように、身体を近付けた。
すると突然きつく抱き締められ、鯉伴さんの舌が動き出した。
「ん、ふっ」
口角の角度を変えられ、舌がくちゅくちゅっと水音を立てて絡まる。
「ふぁっ、んっ…」
絡められ舌を吸われる度に甘い痺れが身体中に広がった。
鯉伴さんは舌を絡ませたまま、私のコートを器用に脱がせるとセーターの下から、大きな手を差し入れた。
その手は私の背中を宥めるようにゆっくりと撫ぜる。
撫ぜられてるうちに、そこからゾクゾクとしたものが背中を走った。
背中を撫ぜられながらブラのホックを外されるともう片方の手が下から胸を揉みあげられる。
「んんっ」
舌を絡められながら胸を揉まれると、下腹部がなんだか熱くなりジンジンとし出す。
胸の頂を押しつぶされ、グリグリと捏ねられ、その甘い痺れに思わず喉から声が出た。
この痺れが続くとおかしな感じになってしまうので、逃げようと身体を動かすが背中を抱き込まれていて、動けない。
「んふっ、んっんっ」
やっと細い糸を引かせながら唇が離れる。だが、胸を揉む動きは止まってくれなかった。
「り、はん、さ……、だめっ、へんになるから…」
手を動かさないで、と言おうとすると被さるように囁かれる。
「どう変になるんだい……?」
どう変になるかなんて、言葉に出来ない。
説明出来ない。
そういう意味を込めて首を小さく振るとセーターがたくし上げられた。
そして、揉まれて無い方の胸を咥えられる。
ぬるっとした感触にビクビクッと身体が小さく跳ねた。
「あっ……」
ちゅうっ、と吸われ、先端を舌で転がされる。
そして時々、甘噛みされた。
甘い痺れと熱が身体に篭もり、どうしていいのか判らない。
それがだんだんと身体に蓄積され、突然何かが迫ってきた。
そして思わず上げた声と一緒に、身体がびくっびくっと痙攣を起こした。
その後、鯉伴さんの膝に跨ったまま長く固いものを身体にぬちゅりと入れられ、大きく揺さぶられる。
「だ、めっ……、また、やぁっ」
鯉伴さんの動きが止まるまで、私は何度も頭の中を白くした。
気が付いたら私は布団の中に寝ていた。
夢?
首を傾げ周りを見回すと、枕元に口紅を入れた漆塗りの小さな入れ物が置かれていた。
ゆ、夢じゃ、ない……っ!
私は鯉伴さんとの事を思い出し、顔を真っ赤にさせた。
と、口紅が入れられた容器の横に書置きが置いてあった。
なんだろう?
首を傾げながら私はその文字を読む。
『ちょいと悪さをした餓鬼にキツイ仕置きして来るから、酒のつまみを作って待っておいで。 母より』
お母さん?

End
*prevhome#next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -