暴走編 | ナノ
「リヴァイに勝つ方法?」

「リヴァイに勝つ方法?」


ナナシ分隊長の驚いたような声音が返ってくる。
軽く見開かれた瞳。
余程突拍子もない問い掛けだったのか、見た事のない表情で、質問者であるミカサを見つめている。


「それは…物理的な意味で、か?」

「はい」

「そんな事を聞いてどうする?」

「…参考までに。ナナシ分隊長なら勝てるのではないかと」

「…………」


難しい表情で黙りこんでしまったナナシ分隊長が、顎に手を添えて目を閉じる。
何の参考だ、と聞かれる気もしていたが、流してもらえたようだった。
真剣に考えてくれているのだろうか。
邪魔にならないように、じっと待つ。


「羽交い締め…は難しいだろう。後ろから手を伸ばせば警戒される」

「はい」

「まずは足を抑える。後ろから近付いて、両足を掴め。まさかいきなり、何の前触もれなく足を抑えにくるとは思わない筈だ」


前から行くと頭を掴まれ、確実に蹴りを喰らってイェーガー状態だ、という解説に、ミカサはコクリと頷く。
イェーガー、という名前に、ミカサの眼光が鋭く光った。


「それから──そうか、この方法だと二人いるな」

「正面からの攻撃ですか?」

「そうだ。スピード勝負と言ってもいい。我に返られる前に畳み掛ければ、一撃は入れられるだろう」

「………」

「その一撃で決める。これで勝ったのかと言われれば正直わからないが…」

「いえ、勉強になります。有難うございました」


淡々とした会話が終わり、ミカサはペコリと頭を下げた。










「………という夢を見たんだけど、どう思う?エレン…」


机に両肘をつき、深刻な表情でハンジさんが訊ねてくる。
急に呼び出されたかと思えば、人払いをしての今の話だった。
今までになく青い顔をしている。
ゴクリと唾を飲みこみ、エレンは口を開いた。


「夢…なんですよね…?」

「うん、夢なんだ」


ミカサとナナシ分隊長が…
兵長の足を掴むミカサ。
ゴーサインを出すナナシ分隊長。
どちらもあり得ない光景だが、絶対にないと言い切れないのは何故なんだろうか。
しかもその正面から向かわされる相手というのが自分である気がする。エレン、行って。そう言われる幻聴が聞こえた。


「いや…いやいやいや。ないです。ないですって!そんな事になったら全力で止めますよ!」

「だよね…?その夢を見てから、リヴァイもナナシも顔を見るのが怖くてさ…」


オレだって怖い。
そんな情報知りたくなかった。
ミカサとナナシさんの連携。それは見てみたい気もするが、それは相手が巨人の場合だ。
どうして物理的に兵長を倒さなくてはならないのか。
いかに人類最強とは言え、あの二人がかりではさすがに分が悪いのではないだろうか…



そんな事があった後、リヴァイ兵長を見かけた際に、「オレは兵長の味方になります…!」と宣言すると、物凄く怪訝そうな表情を浮かべられた。

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