DTB×SNGK | ナノ


 01


綺麗だな、と。
最初に浮かんだ感想はそれだった。

空に浮かぶ、数多の星空。
偽物ではないと、確信出来たのは何故なのか。
流れた涙の意味もわからないまま、ただただその夜空を眺め続けた。






取り敢えず…ここは何処だ?

昨夜はそのまま眠りについた。地面に横になり、星空を眺めながら。
朝になり、周囲の様子が分かってからは暫くの間呆然とした。
幼い頃から世界各国に派遣されていたが、まったく見覚えのない景色だった。草原?荒野?南米とはまた違った気候だが、人の気配がまるでない。
当然BK201もいない。通信を試してみたが、MI6にも繋がらなかった。
ゲートの中から、何処へ飛ばされたというのだろうか?

体が消えていったと思ったのだが、今は確かに存在している。変わった所もない。試しに能力を発動させてみる。ヴン、という音を立てて、黒い渦が手のひらの上に浮かんだ。
問題はないようだ。
すぐに消して、辺りを窺う。契約の対価を支払いたいのだが、どうにも支払う術がない。早く人を見付けなければ。
適当な方角へ向けて、足を進める事にした。


「?」


暫く歩いていると、びっくり人間を見付けた。
デカい。なんだあれ。
ズシンズシンと足音を響かせて、巨大な人が視界の端を横切っていった。
人…なのか?あんな能力は見た事がない。何故全裸だ。

味方だとしても知り合いになりたくはない。見なかったふりをした。



また暫く歩いていると、同じような巨人数体と出くわした。
大小様々ではあるが、皆裸体。
同じ種族だろう。
まさかここは、まだゲートの中なんだろうか?だとすれば、なにが起きても不思議ではない。人が巨大になったのか。それともまったくの未知の生命体なのか。
見極めるために、仕方なく接触してみることにした。


「こんにちはー」


呼び掛けてみる。
無視された。


「すみません」


触れてみる。
無視された。


「俺はナナシと言います。あなたの名前は?」


問い掛けてみる。
やはり無視だ。

どれも同じ結果に終わった。
無反応。
視線すら向けられない。
知能はないのか?見たところ生殖器はない。男っぽいものばかり。あとは顔が気持ち悪い。互いに会話する様子もなく、そもそも意思の疎通をしていない。
得られた情報はそれだけだ。

どうしようもない。
これでは合理的な判断も出来ない。

その中から15メートル程の巨人の頭に飛び乗ってみた。
方向さえわかれば、そちらに向かって飛べばいいだけなのだが。
なにも見えない。お手上げだ。
巨人の頭に腰かけて、しばらく休憩する事にした。
思えば結構なバトルを繰り広げていた気がする。それからはずっと歩き通しだ。
なんだかどうでも良くなってきた。
先ほどから隠す気もなく力を使っているのだ。たとえゲートの中だとしても、位置情報など簡単に割り出してもらえるだろう。
ノーベンバー11…というよりは、ジュライに期待する事にしよう。あぁ、そのためにはガラスを探さないとダメか。
あの小さなドールは有能だった。
手を引いて歩くのは嫌いじゃない。


ズシンズシンと巨人は歩き続けている。
後頭部へと足を投げ出し、何処へ向かっているのかもわからぬままに俺はのんびりとその景色を眺め続けた。




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