02  




あの日からずっと、彼女を観察していた。
よく笑う女性だった、いつもニコニコと優しい笑顔を浮かべていた
毎日歌を歌っていた、他の魚たちとも仲がよさそうだった。
もっと近くでその姿を見たかった、…つい、岩部から一歩、足を出してしまった

目を見開いてくるりと俺の方を向く人魚。
正面から見るのは初めてだった、俺は何とも言えぬ喜びが胸を占めるが
彼女の方はとても怯えた目をしている。
そしてすぐさまどこかへ行ってしまった。

しまった。と絶望した
もしかしたらもうここらには来ないかもしれない
だとするとこの広い海で彼女を探すのは難しい。
近づこうなんて考えるべきではなかった
俺は彼女を遠くで見れるだけで満足するべきだった。
しまった、どうしよう。そんな後悔だけが頭の中を支配する


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