嵐の前の静けさ  




父親と母親はSPW財団に勤務していた。
といっても2人とも雑用係みたいなもので、
給料も普通のサラリーマンと変わらなかった
まぁ雑用係で普通のサラリーマンと同じ給料というのもおかしな話だが。

だが雑用といってもよく地方にあっちこち行ったり、書類整理もする。
器用貧乏というのだろうか、つまり細かな面倒ごとをする係だった。

裕福とは言えないが貧乏でもない家庭、
両親は家にいないことが多かったが仲はいい家族だったと思う。
もちろん、幼い頃からこんな調子だったから昔は寂しくもあったが、小学校に上がってからは仕事だから、と割り切るようになってきた。

そう言えばここ数年、家族の誕生日祝いも
クリスマスとかのイベントも祝えていない。
今年の元旦は帰ってくるのだろうか

「帰ってこないかぁ」

両親は一人っ子で両親、つまり私のおじいちゃんとおばあちゃんは既に亡くなっている。
親戚もいないためあまりうちの家族は元旦に興味はなかった。
毎年この時期はスーパーでお節を買い、餅を食べながら1人でつまらない正月番組をみるだけだ。
いつ頃両親は帰ってくるだろうかと元旦はとっくに過ぎたころふと思う。
冬を超えたら春。私が中学1年生になる季節
入学式は必ず行きたいといっていた両親だからきっと春までには帰ってくるのだろう。


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