給湯室で抱き合っていた所を総悟君に見られ、散々からかわれたが…総悟君は何もかも分っていたらしい。近藤さんも総悟君も、あの時代、一緒に戦っていた仲間。だから初めて会った気がしなかったんだ、
記憶が繋がってからというもの、あの悲しい夢を見ることはなくなった。その代わりと言ってはなんだが…あの時代に生きた私達の幸せな暮らし、そればかりを夢に見る。屯所でバカをやって土方さんに怒られて、愛されて、幸せだった…そんなあのころの夢を良く見る。
「‥…ふふ」
そんな夢を見た朝は何とも言えない幸せな気分になれる。
「…ん…どうした?」
「土方さん、」
「ん?なんで笑ってるんだ?」
同じ布団の中で目を覚まし、笑っている私を不思議そうに見つめたあと、私を腕の中に収めると土方さんは満足げに笑っていた。
「真選組に居た頃の夢を見たんです」
「……」
「心配しないで、幸せな…あのころの夢ですから」
「そうか」
「総悟君と一緒に悪戯して怒られてました」
「今と変わりねェだろ」
「そうですね」
啄むような口づけが降って来て、どうしようもない幸せを感じる。あの時、二人で幸せになれなかった分を埋め合わせるように、隙間がないようにくっついて肌を重ねて…二人の人間が一つになることを願うように、
「なぁ」
「ん?なんですか?」
「俺ァ…幸せにしてやる、なんて言えた義理じゃねェが…お前とだったら幸せになれるんだ」
「私もです」
「お前につらい思いをさせた分、幸せになりてェんだ、一緒に」
「…はい」
「俺と結婚して一生傍に居てくれねェか」
「もちろんですよ」
「好きだ、愛してる」
今度は二人で一緒に幸せになろうと、唇を重ねて誓うのであった。
[ prev / next ]
[戻る]