「ナマエは女なんだからいい加減隊務からおりろ。」と左之からは散々言われてきた。だけど私だって幹部のみんなと一緒に戦いたかったし、何より大好きな左之と一緒に居たかった。
左之は私の身を案じてそう言ってくれていたのに、私は自分のわがままを貫き通して左之の言うことを聞かなかった。だからバチが当たったんだと思った。
「!…っ」
一瞬の隙を突いて間合いを詰めてきた敵に腹を斬られたのだ。
「ナマエ…!」
「ナマエちゃん!」
私を斬りつけたやつはすぐに総司によって斬られ、左之に心臓を突かれ死んだ。私に駆け寄る幹部のみんな、心配そうに私を抱える左之の顔が見えたが……だんだんと意識が遠のくのがわかる。
左之、私…死ぬのかな。
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「傷の縫合は終わりましたが、無理は禁物です。無理をすればきっとすぐに傷が開くでしょう。」
「……ありがとうございます」
ズキズキと痛む傷が熱を持っている。医者の話を聞いてみると私は丸三日も眠っていたそうだ。
「して…ナマエ殿。」
「はい」
「あなたには恋仲にある方がいらっしゃったかな」
「…はい」
「少し、言いにくい話ではありますが」
「なんでしょう」
「月経が来ていなかったでしょう。あなたは子を成しておられたようだ。しかし、この腹の傷だ。残念ながら、お子は…」
目からは自然と涙があふれてきた。左之と、私の子が、私の腹に居たのだ。
「子が…私と左之の子が…私のせいで…」
「ゆっくり聞いてください。この腹の傷、命に別状はありませんが…もう子を成すことはできないでしょう」
この時初めて、死にたいと思った。
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