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【 2-5 】

「ん?ナマエこの花どうしたの?」
「お客さんに貰ったの。綺麗でしょ?スイセンっていうんだって」
「シンプルだけど綺麗だね」
「黄色い花びらをみて何と無くミナトを思い出しちゃった」

花を見つめて俺を思い出すと言って笑うナマエ。もう、この子ってばどうしてサラッと可愛いこと言うかなあ。なんだか愛しくてたまんなくなって(いつもたまんないけど)ギューっと抱きしめると、苦しい!と腕をぺちっと叩かれた。ん、ごめんごめん。


「ミナト先生ー!!」
「オビト、今日も遅刻だよ。理由は?」
「ナマエのとこで団子を食べ…たいっていう婆ちゃんがいて手を繋いで送ってきたんだ!」
「(この子はお団子食べてきたんだね…)お婆さんの為なら仕方ないね。次は遅れないように」
「はーい」

後ろでカカシとリンがブーブー言ってるけど、まあいつもの事だし、ナマエの名前が出ると強く言えないし…今回は許してあげよう。

「それよりさ、先生」
「ん?なんだい」
「ナマエとさ、めちゃめちゃ喋ってる若い兄ちゃんがいたぜ」
「え?」
「それがさ、この間甘栗甘にいった時もそいつがいたんだよなー」
「常連さんなのかな?」
「先生、鈍すぎ」
「なぜだい?」
「その人ナマエのこと好きなんじゃねーのかなーって俺は思ったんだけどなー」
「!!!」
「うわ、先生ってば顔が真っ青になっちゃってるよ…」

もう!オビトったら先生をからかわないの!ってリンがオビトに向けて発した言葉がやけに遠くに聞こえた。ダメだダメだ。集中しないと。うん。



昨日のオビトの話が気になって気になって、ナマエが嬉しそうに花瓶の水を変えている姿にさえ動揺している。ナマエはこの花を見ると俺を思い出すから嬉しそうなんだよね?お願いだからそういって。その花、噂の男に貰ったんじゃないよね?

「ねえ、あのさ…この花誰に貰ったんだったっけ」
「お客さんよ?行商人の方でね、色んな国を回ってるんだって」
「そ、そう…」
「最近頻繁にお店に来てくれてね、いつも色んな国のお話をしてくださるの」

その人って男だよね?なんて聞けなかったけど…嫌な予感とはよく当たるもので。きっとオビトが言っている人と同一人物なんだろう。んー、何もないといいんだけど、何故かとっても嫌な予感がするんだよね…。杞憂に終われば良いんだけど…。

.
.
.

「あ、いた!いのいち!!」
「なんだミナトか」
「ちょっと教えて欲しいことがあるんだけど…」
「どうしたんだ」
「スイセンって花、なんだけど」
「スイセン?」
「黄色のスイセンってこの辺に咲いてる?」
「木の葉には咲いてなかったと思うが…球根は薬になるし花は香料として使われるんだ。黄色なら花言葉は"愛に応えて"だな。お前そんなのナマエに贈るのか?相変わらずキザなヤツだな」
「愛にこたえて、か」
「手に入れるのは難しいぞ?」
「ん!そうじゃないんだけど…ありがとう!じゃあ!」
「おう…ってもういっちまったのか。相変わらず速いな」

愛にこたえて、なんて…。ナマエが応えるのは俺の愛だけだよ!と自信を持って言いたいところだけど、なんとなく不安が押し寄せる。この言いようのない不安は何なのか。