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痛みの拠り所(R18)

「俺に勝てるのは俺だけだ」が口癖の幼馴染くんは、強がってはいるけれどもバスケが大好きだ。妹のさつきは、常に彼のとなりで彼のバスケを見てきた。バスケにのめり込み、バスケに感動し、そしてバスケに絶望した瞬間、すべてを。

いつかまた、中学時代を彷彿とさせるようなキラキラとした笑顔を見せてくれることを切に願い、彼のとなりでバスケ部のマネージャーを続けている。

「よお、名前」
「大輝?あれあんた今日練習試合じゃないの?」
「行くわけねーだろ」

妹は可愛い。あの子が一生懸命バスケ部のマネージャーとして働いているのはよくわかっているから、応援したい気持ちは山々だ。だがしかし、私にとってはこの幼馴染もどうしようもなく可愛いのだから、甘やかしてしまうのは仕方がない。

私と妹は年が五つ離れている。それはすなわちここにいる青峰大輝とも年が五つ離れているということだ。彼が年上の私を敬ってくれることなど無いに等しいのだが。

「サボっちゃダメでしょ」
「お前までそんなこというの」
「今日は随分と甘えたなのね」
「…甘やかしてくれんの、お前だけだろ」
「さつきも十分甘いと思うけど」

大輝は私の家を度々訪れる。
社会人になってひとり暮らしを始めた私の家に、当然のように上がり込みくつろぐ。彼がこうやって我が物顔でこの部屋にいるせいで彼氏なんてできやしない。

「なんか嫌なことあったの?」

コーヒー片手に二人がけの小さなソファに腰掛けると、大輝は私の足の間に体を滑り込ませ、そのままお腹に腕を回して抱きついてきた。私は苦笑いしながらコーヒーを置き、お世辞にも小柄とは言えない男子高校生の頭を撫でた。

「バスケがつまんねぇ」
「でも好きでしょ」

心に刺さった大きな棘は中々抜けないらしい。
バスケが好きで、誰よりも練習した。そして誰よりも上手くなった。才能が開花した頃には大輝のまわりに大輝と対等に戦える人はいなくなった。楽しかったはずのバスケが楽しくなくなってしまった。

試合には出るが練習はしないと条件付きで入部した高校のバスケ部でもそれは変わらず、相変わらず苦しんでいるようだ。そんな大輝にさつきも手を焼いている。あの子はもう一度大輝に心から楽しいバスケをしてもらいたいと思って世話を焼いている。そんなさつきの気持ちを理解し、側にいることを許している彼だが、本音を言って心を解放するのはバスケに関係のない私のところ。

「おいで」

私がそう言うと、大輝は素直に顔を上げべったりとくっついていた上体を起こした。そして縋り付くように首に腕を回してきた。広い背中をポンポンと撫でると、安堵したようにため息がひとつ溢れた。さつきにあまり甘やかすなと怒られてしまいそうだが、私はこの子が可愛くて仕方ない。

暫くすると膝立ちのままの大輝に至近距離で見つめられ、そのまま唇が近づく。伺うようなキスは受け入れられたと分かると同時に激しさを増し、自然と喘ぎ声が漏れる。口の端からはだらしなく唾液が垂れた。

「ん…っ…大輝、」
「はぁ…ん…名前…」

そのうちに大輝の手がごそごそと身体中を這い回り、あっという間に胸が露出させられた。さつきより幾分小さい胸に挟まるように顔を埋め吸い付く。巨乳好きを豪語する彼には少し物足りないものだと思うが、これ以上の成長は見込めない為致し方ない。

「…あと、消えてる」
「ん?この間の?」
「早いな、一週間もたねぇか」

彼は独占欲の塊のような印をつけたがる。唯一、弱音や本音を言える相手である私の存在に対する独占欲。彼のとってのそれは子どもが親を独占したいような感情に似ているのだと思う。

ひとり暮らしの為の控え目なワンルーム。ベッドはソファのすぐ後ろにある。大輝は軽々と私を抱き上げるとベッドにぽすんとおろした。

「脱がすぞ」

耳もとで恐ろしいほどドスの効いた声で言われてしまえば、苦笑いしながら頷くしかない。私がこの声に弱いとわかっていてやるんだからタチが悪い。あっという間にショーツだけを残す形に衣類をはぎ取られ、そんな私を見て大輝は嬉しそうに笑う。

「大輝も脱ぎなよ」
「脱がして」

身長2メートル近い男の服を脱がすというのは割と大変だ。私が彼の服を脱がしている間にも身体はどんどんまさぐられ、刺激に息が上がっていく。

「は、もう息上がってんの」
「仕方ないでしょ」

そういう大輝も、私の手のひらが素肌に触れるたびにビクリと身体を震えさせている。

「もうやばい、一回抜いて」

下着だけを残し、温度を確かめるように大きな身体に触れていると切なげにそう言うものだから、何だかたまらなくなってはち切れんばかりに大きくなった大輝に触れた。

「頼む、口で、」

母性本能をくすぐられまくりの私が彼のお願いを断れるわけもなく、口いっぱいにソレを含み舐めまわした。徐々に息が上がり、もう限界かなと思ったところで吸い上げると、小さな喘ぎ声とともに腰が大きくはね、精子が吐き出された。

「飲んだ?」
「ん」

飲めと言われる前に全てを飲み込んだ。あまり好きじゃないが、飲むと喜ぶからつい飲んでしまう。

「次俺な」

今度は交代とばかりに私を押し倒し、大輝は身体中を舐めまわす。

「首はダメよ」

この子はどこにでもキスマークを付けようとするから困る。チッと舌打ちをしたあと、首以外なら良いんだなとばかりにキスマークをつけまくった。吸い上げられる度にチクっと痛みが走る。この子は加減というものを知らないから、いつも痛々しいほど赤黒い鬱血痕ができるのだ。

鎖骨から足までひと通りキスマークをつけ終えた大輝は、今度は胸に顔を埋めた。赤ちゃんのように乳首をしゃぶる時はいつものような雄々しさは感じられず、純粋に可愛い。そう言って頭を撫でれば気に入らなかったのか「ガキはこんなことしねぇ」といやらしく指と舌で先端を弾かれて声が漏れる。そんなことをされれば当然私も濡れるし、時々視界の端に入る大輝のものも先ほど抜いたのが嘘に思えるほどに大きくなっていた。

「大輝、もういいよ、」
「まだ」

つらいだろうと思って進言してみたが却下され、大輝の指が優しく私の下半身に触れた。既に十分濡れている為あまりほぐす必要もなさそうだが、彼は優しく指を入れる。抜き差ししながら敏感な突起を舌で刺激するもんだから声が止まらない。

「あ、ん…っ…大輝、はぁ」
「可愛いな、おまえ…一回イけよ」
「え、うそ、ダメ…っ!」

そのまま指でイかされ、身体がビクビクと痙攣する。私が身体を震わせている間に「少し待ってろ」とキスをひとつ落として避妊具を装着する大輝。余韻に浸る間も無く、最大限に勃起したそれが私の中に埋められる。

「あああっ!大輝…っ…」
「ん…っ…きつ…」

これだけ身体が大きいのだから、勿論それも平均以上だ。平均サイズの体で受け止めるにはいささか大きすぎる。

身体中で大輝の熱を感じる。揺さぶられながら大きな身体を抱きしめ素肌を密着させる。どんどん早くなる腰の動きに喘ぎ声が止まらず、限界が近くなる。

「大輝、大輝っ、もう無理、んあ…っ」
「俺も…っ…はぁ」
「ダメ、ダメ…!イく…っ!」
「うっ…すげっ…」

私がイったと同時に大輝もイった。絞り出すように腰を数回振り痙攣する身体を労わるように抱きしめてくれた。入れたまま身体を起こし、対面座位の形で抱きしめられゆっくり背中を撫でられる。五つも年下の男の子に主導権を握られるのは癪だが、これだけ大きな身体に包まれれば安心感がすごくてすぐに眠気が襲ってきそうだ。

「寝る?」
「うん…」
「ゴムだけ片付けてくる」
「うん…」

少しの間だけだが離れていった大輝の背中を見つめていると何だか寂しくなった。情けないほどか弱い声で「大輝」と呼ぶと、下着を履きながらきょとんとした顔で「どうした?」だなんて。あまりに優しい声に今度は嬉しくなってもう一度名前を呼ぶと、照れ臭そうに「なんども呼ぶな」と言いながら戻ってきた。

二人でベッドに倒れこみ、彼の腕に包まれて目を閉じる。

「明日はちゃんと行きなよ、部活」
「あ?ああ…行くだけな」
「次の試合観に行くからね」
「マジ?」
「さつきから誘われた。私が観にきたら大輝がちゃんと来るからって」
「俺ホイホイってわけか」
「うん、だからちゃんと試合行きなよ」

わかったわかったと嫌そうな顔をする大輝が可愛くて、一度だけキスをして目を閉じた。
いつまでこうしていられるかわからないけれど、もうしばらくは私だけがこの子の心の拠り所でいたいと願った。


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