彼の不安

「や、ちょっと!待って八雲!」

私達は後藤さんに頼まれある事件の捜査に協力をした。事件は無事に解決に至ったのだが、八雲の様子がどうもおかしい。彼と一緒に私の部屋に帰って来たのは良いもののすぐにベッドに押し倒され、八雲にしては珍しい荒々しいキスをされた。

「や、くも…っ…あっ」
「…っ…」

キスをしながら私の服を脱がそうとしていた八雲の手の動きが急に止まり、不思議に思って顔を見つめると彼はなんだかすごく不安げな表情をしていて、

「八雲…?」
「今日見たあの魂…すごく強烈だった…っ」
「…うん」

このまま消えて無くなりそうな八雲をギュッと抱きしめた。

「大切な人を殺されて…悔しくて、不安で、悲しくて、」
「うん」
「僕にとってなにより大切な君が…もし…誰かの手で…っ…」
「八雲…」
「そう考えると…とても恐ろしくなって…っ…」
「うん…」
「君が一生僕の傍に居てくれる保証なんてどこにもないのに、」
「八雲、」
「……」
「私が八雲のことをどれだけ愛しているのか伝わってないの?私は八雲が嫌って言ってもあなたの傍を離れない」
「名前…っ」

未だに不安そうな表情の八雲に、今度は私から深い深いキスをした。

「や…くも…っ…」
「はぁっ…名前…っ」

度重なる愛撫に十分に濡れたそこに八雲自身が容赦なく突き刺さる。このまま、私と八雲の魂も肉体も一つになれたら良いのに。そうすれば、もう八雲が不安を感じることはないのに。


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