先日、伊達家当主である政宗様に新たな小姓がついた。なんでも京のとある奉行所からの推薦で、毒見役として連れてこられた者らしいのだが、毒を見破った功績と料理の腕を買われ、小姓に昇格したらしい。とても小柄で可愛らしい子ではあるのだが、少しばかり世間知らずな面もあり、小十郎様も頭を悩ませているようだ。
「またため息」
「ああ、名前。すまないね」
「政宗様の小姓でお悩みですか?」
「ああ。色々と込み入った事情があったとはいえ…さすがに女子が政宗様の小姓となるのは如何なものかとね」
「…はい?」
小十郎様の口からポロっとこぼれ落ちたその言葉は、私の頭をガツンと打った。おなご、と言いました?
「あの弥彦という子は女子なのですか?」
「悪徳奉行に家族を人質に取られ、仕方なしにやってきたらしい。」
可哀想な子、そうは思ったものの、この醜い嫉妬が晴れることはない。
私は小十郎様と想いを通わせてはいるが、何如せん小十郎様が支えているのは政宗様だ。普段は常に政宗様のお側に居られる。私は城から少し離れたこの小十郎様の長屋で帰りを待つしか出来ない。それなのに、あの子は政宗様の小姓となった。政宗様の小姓ということは、政宗様にお支えする小十郎様とも常に一緒にいるということだ。
「名前?どうかした?」
「いえ、ちょっと考え事を」
「嘘。俺がお前の気持ちがわからないとでも?」
あ、と声を上げた時にはすでに小十郎様の薄い唇が私のソレと重なっていた。なにも心配なんかいらないさ、俺が愛しているのはお前だけだから。そう言って小十郎様は私をゆっくりと褥に押し倒した。
肌蹴た着物の隙間から、すでに熱く滾った小十郎様の一物が垣間見える。今からアレに穿たれるのかと思うと子宮の奥がきゅんと疼いた。
「また、考え事?」
「早く小十郎様と繋がりたいな、と」
「お前はまたそんな可愛いことを」
「小十郎様、ね、早く」
「ああ。覚悟しておきなさい」
身体中に散りばめられた赤い跡。言わずもがな、私は小十郎様のものだという印だ。
「誰にも渡しやしないよ。お前は俺だけのものだ。そして俺もお前だけのものだ。」
「…はい」
熱を孕んだ瞳に見つめられ、どうしようもないくらい、ひどく体が疼いた。
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