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ネビュラの溜息

「青峰くん今日もカッコよかった!」
「おーそうか。知ってる知ってる」
「次の試合も観に行くね!」
「別に来なくていい」

何故か俺にまとわりついて来るこの女。
帝光中から一緒で、一度だけ同じクラスになったことがある。俺がバスケをしている姿に惚れたとかなんとか言っていたような気がするが詳しくは覚えていない。名前はしつこいが、今となっては名前がまとわりついてくるこれが日常になってしまっているから、こいつがいない日は少しだけ物足りなかったりもする。

「青峰くん昨日告白されてたね」
「ん?ああ」
「オーケーしたの?」
「してねぇよ。貧乳だったし」
「巨乳なら誰でもいいの?」
「巨乳が第一関門だ。他はそれから考える」

俺が誰かに告白されると決まって不安そうな顔をして付き合うのかどうかを聞いてくる名前。これも今となっては当たり前の行事だ。

「お前だってこの間告られたんだろ?さつきに聞いた」
「う、桃井さんめ…」
「で?付き合うのか」
「付き合うわけないでしょ」
「あっそ」

名前が誰かに告られるたびに俺が付き合うのかどうかを聞くのも、もう何度も繰り返され当たり前の行事になっている。答えは決まっていても、名前が付き合わないというとひどく安心する。

「青峰くん、ちゃんと汗拭かないと風邪ひくよ」
「ってお前なんでこんなとこいるんだよ」
「一緒に帰りたくて待ってた」
「真冬だぞ?馬鹿だろ」
「馬鹿じゃないです」
「ったく何が楽しくて俺なんかにつきまとってるんだか…」
「私が好きでやってるんだから気にしないで」
「付きまとわれる身になれってんだよこのタコ」

短けぇスカートからはみ出た脚は寒さに耐え切れず真っ赤になっている。こんなになるまで俺を待つとか馬鹿だろ、馬鹿。

「お前さ、それなりに告ってくるやつとかいるんだからもう俺にまとわりつくのやめれば」
「青峰くんが本気でそう思うならもう明日から話しかけないよ」
「そこまで言ってねーし」

適当言ってこいつが離れていかないようにしている俺はずるいと思う。好きと言われてそのまま好きを返せるかどうかはわからないが、名前の好きが俺に向いていることにはひどく安心する。俺はこれからも何も与えないままこいつのことを俺だけに縛りつけるんだろう。我ながら嫌なやつだ。

「何笑ってんだよ」
「こうやって結局一緒に帰ってくれるから優しいよね、青峰くんって」
「お前ひとりで帰らせてレイプ魔に襲われたとか言われたら嫌だろうが」
「一応心配してくれてるんだね」
「俺の保身のためだバーカ」
「本当は心配してくれてるの知ってる」
「勝手に言ってろ」

そうやって俺のことをいいやつだと信じて、お前はずっと俺だけを見ていればいいんだ。


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