「はぁはぁ…っ…も、ダメ…ッ」
「名前さん…俺も…ッ」
薄っぺらいゴムの中に、ドロドロの液体を吐き出した徹は力尽きたように私の上に倒れこんだ。男らしい体格の徹に抱かれるのは好きだが、こんな大きな体にのしかかられている状況はツライ。
「ちょ、徹重い」
「えーもうちょい甘えさせてよー」
「可愛い子ぶんなくていいから!ほらどいてってばー」
「名前さん冷たい…」
徹はそう言って立ち上がると、使用済みのゴムの処理をして、私の体も綺麗に拭いてくれた。体を拭き終わると隣に寝転んでさりげなくスマートに腕枕をして抱きしめてくれる。なんだか手慣れている。そんな徹の慣れた感じをいつかからかってみようと思っていたら、なんと徹の方から鋭いつっこみが炸裂した。
「名前さんってさ、」
「なに?」
「エッチうまいよねー」
「そうなの?」
「フェラとか上手すぎて俺すぐイっちゃうもん」
「へー」
「経験豊富、なの?」
「やだな、年の功だよ。それなりに徹より長く生きてるんだし。徹こそなんか手慣れててお姉さん寂しくなっちゃう」
「は?俺名前さんとしかしたことないからね?」
まさか、と私は目を丸くするしかなかった。手慣れているからそれなりの経験があると思っていた徹の口から驚くべき真実が語られたのである。
「……え?」
「人の童貞奪っといてよく言うよ。名前さんは処女なんかじゃなかったけどさあ」
「徹って…あの時童貞だったの?」
「幼気な少年を押し倒してエッチしたくせによく言うよ」
「なんかゴメンなさい」
「今となってはいい思い出だから気にしてないけど。それより名前さんが経験豊富なのが腹立つ。」
「だから、豊富ってほどじゃ」
「何人いる?今までに何人と寝たの?」
「えーっと…………七人くらい?」
「ほら!充分豊富だよ!!!ああ腹立つなその男ども。殺してきてもいい?」
「いいわけないし。でも、一番回数が多いのは徹だよ?」
「そりゃあね!こんだけ長く付き合ってればそうでしょうけど。付き合う前に童貞奪われたけどね!」
「う、ごめん」
「はあ…もういいや。考えてもキリがないから。だからもう一回抱かせて?ね?いいでしょ?」
「んーわかったよ…」
「物分かりのいい名前さん大好き」
「抵抗してもどうせ抱かれるんだから」
「よくおわかりで」
私が童貞を奪ってしまったらしいとても可愛かったあの時の少年は、今では体も立派に成長して、私を力ずくで押し倒して抱くほどの男になった。時の流れとは恐ろしいものだ。
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