たまの休みだ。朝寝坊くらい許されるだろうと思ったが、思うようにいかないのが世の常だ。そんなことを考えながらも安眠を妨害した声の主達にイラつくこともなく、静かに体を起こした。
「朝から賑やかだねーお前達」
リビングに顔を出すと名前が困ったように笑った。せっかくのお休みだったのにごめんね、と眉を下げて言いながらも目の奥では予定よりも早い俺の起床を喜んでいるようにも見えた。
賑やかな声の主達、俺の息子達は俺の姿を視界の端に捉えると一斉にこちらにやってきた。
「父さん!今日は俺の修行に付き合ってくれる!?」
「ダメだよ!僕の術を見てもらうんだから!」
競り合いながら絡みついてくるチビ達を足に巻きつけたまま、今度は俺が眉を下げる番だった。
「もうちょっと寝かせて欲しかったんだけど」
俺がそう言うと大ブーイングが巻き起こった。それもそうだろう、普段中々一緒に過ごす時間がないから、彼らはこの日をとても楽しみにしていたらしい。
「お父さんはお疲れなんだから、今日はあなた達も修行をお休みしたら?」
「「えー!」」
「名前、たまには俺も父親らしいことしたいからこいつらに付き合うよ。昼までには帰るから。ね?」
「…わかった。美味しいご飯用意して待ってる」
やったー!と大声で叫ぶチビ達声を背にもう一度寝室に戻って忍服に着替える。部屋を出れば満面の笑みを浮かべてソワソワとしているチビ達と、少し暗い顔の名前。
「お前ら、先に行ってな」
「「はーい」」
「…行ったな。名前、そんなに不貞腐れないで。すぐ戻る」
「あなたに構って欲しいのは、なにもあの子達だけじゃないのに」
「はは、それは嬉しいね。今の発言、今夜後悔してもしらないから」
もう!と顔を真っ赤にした名前にひとつだけキスを落として子供達を追いかける。忙しい日々の中にも、こうやって確実にやってくる幸せな時間。そんな時間を作ってくれる名前への感謝の気持ちを込めてケーキでも買って帰ろうか。きっとあいつは綺麗な瞳を潤ませて満面の笑みで笑うだろう。俺の大好きな、太陽のようなあの笑顔で。
happy birthday to kakashi
2015.9.15
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