ぶらり、途中下車

ガタンゴトン、ガタンゴトンと心地いい揺れが睡魔を誘う。徐々に徐々に襲い来る睡魔に抗えなくなった私は抵抗することをやめ、隣に座るイタチの肩に頭を預けた。ゆっくり眠るといい。そう言って彼の手が私の手を握ったとき、私は意識を手放した。

それからどのくらいの時間が経ったのか、イマイチよくわからない。目を覚ましてみると、窓の外には知らない景色が広がっていた。

「え!?どこ!?」
「起きたのか」
「もしかしてイタチも寝てた?」
「いや、俺は起きていた」
「え!何で起こしてくれないの!」
「名前があまりにも気持ち良さそうに眠っていたのでな…起こすのは可哀想だった」
「う…(優しい…)でもこんな知らない場所、どうすんの」
「ああ、外も真っ暗だな」
「ほんとだよ」

元はと言えば私が睡魔に勝てなかったのが悪いんだけど。例え私が責任転嫁したとしてもイタチは私を責めたりはしない。とっても優しい人。

「まあ反対側の電車に乗れば帰れるか」
「ああ、そうだな」
「イタチ…こんなに遅くなっちゃって大丈夫なの?サスケと遊ぶ約束とかあったんじゃない?」
「サスケにはまた今度と断ってきた。今日は何となく…お前と一緒に居たかったから」
「え・・・」

じゃあこの人は本当にわざと起こさなかったのか。それにしても可愛い理由だ。

「イタチ、手繋ごう」
「ん?ああ」
「どこまでいこっか」
「え?」
「今日はずっと一緒に居てくれるんでしょ?」
「フッ…そうだな、お前と一緒ならどこだっていい」

イタチの笑顔が愛おしくて、思わずギュッと抱きつくと不意打ちのキスをくらった。

「も、もう!」
「許せ名前」
「怒ってないけどさあ!」

イタチが楽しそうだからいっか。


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