おつきあい報告

「名前!!」
「カカシ!!」

降りかかる瓦礫から私を守るように抱きしめてくれるカカシ。

戦争中なのだ。ここは戦場。いつ命を落とすかわからない戦場で、弟が頑張っている。私は彼の成長と活躍を1番近くで見ていたくてカカシにサポートしてもらいながら、ここで戦っている。

「!!」
「名前?」
「この気配・・・、どういうこと?」

どうして、死んだはずのパパの気配が?

ーーーシュタッ!!

「名前!ナルト!」
「パパ!?!?!?」
「父ちゃん!!」

突然現れたパパの目は、穢土転生の目。恐らく、誰かが口寄せしたのだ。

ナルトの成長に嬉しそうに目を細めるパパは、私の顔を見るなり今度はかなりのしかめっ面を見せた。

「ねえ、名前ちゃん」

パパが私をちゃん付で呼ぶ時は、大体機嫌が悪い時だ。

「パ、パパ?」
「なんで、カカシと抱き合ってるんだい?」
「いや、あの、カカシが私を瓦礫から守ってくれただけで・・・」
「それ、抱き合う必要あるの?」
「いや、あの、ミナト先生」
「ふーん…カカシったら俺の、名前に、手を出したんだ」
「いやパパ俺のって」
「だってだって!俺が見てない間にこんなに綺麗になった名前がカカシの女になってるなんて信じたくないじゃない!!」
「カ、カカシの女って!」

戦地の真ん中で顔がボッと赤くなるのを感じた。なんでこんなことに。
というか知ってるならわざわざ聞かないでよ…!まさか父親にそんなことを言われる日がくるとは!

「名前!もう!なんでカカシなの!?!?」
「なんでとか言われても」

パパが死んじゃったあとに塞ぎ込んだ私を気遣ってくれたカカシに私が惹かれていくのは時間の問題だった。それだけだ。

「ミナト先生、こんなところであれですけど、お付き合いさせて頂いてます…!」
「ほんとこんなところで何やってんの!?!?」
「カカシ…名前と、どこまでいったの」
「パパ!?」
「どこまでって…」
「シたの、シてないの」
「…シマシタゴメンナサイ」
「もうなに!?なんなの!?」
「信じられない!俺の名前が!」
「ってパパ!そんな話してる場合じゃないんじゃないの!?戦いは!?」
「そうなんだけど大事な問題だよ!?大事な一人娘が…いや、カカシは俺の誇れる教え子だけど…よく知ってる分なんか逆に…ああもう!」

「パパ、私だってもう立派な大人なんだし結婚だって出来る歳なんだし、ちゃんとパパとママみたいにカカシと愛し合ってるから心配しないでよ!」

「あ、愛し合ってる…!名前が…わかったよ…パパもう口出ししないから…お幸せに…」
「いや、ちょっと泣かないでよ!せっかくの四代目火影の名が台無しだよ!」
「ミナト先生!その件については謝罪しますから!今はこの戦争を…」
「(ジー・・・)わかったよ。やればいいんでしょやれば!」
「いじけないでって!パパ!」

誰だこんな大変な人を穢土転生したやつは。もう。

「父ちゃんってば姉ちゃんに対してはこんなに過保護だったんだな…驚いたってばよ」
「ナルトが出来るまで本当大変だったんだから」
「なんか…想像できるってばよ…俺の父ちゃんかっこいいイメージしかなかったのに…」
「ナルト、かっこいいだけのパパなんて幻想よ」

死んだはずのパパにもう一度会えたのは嬉しいが、正直めんどくさい。

やけくそにクナイを投げて敵の元へ飛ぶパパを見て、なんだか笑いがこぼれた。

「驚いたよ、まさかミナト先生が」
「ごめんね、めんどくさくて」
「普通ならいずれは通る道なんだろうけど、まさかここで通るとは夢にも思わなかったよ」
「私も」

パパ、心配しないで、私はパパとママみたいに、カカシとちゃんと愛し合ってるから。


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