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誕生日(2010)

いい年こいて、誕生日が楽しみだとか思ってない。だけどなぁー…こんな日に仕事ってのはちょっといただけない。いつも仕事なくて困ってんのに、何で今日に限って入ってるのか。しかも新八の話によると銀さん一人で来てほしい、ということだ。…意味がわからねェ。何で俺だけなんだよー。気遣って新八一人で行って来いよ。だからお前は駄眼鏡なんだ。

新八に言われた通り依頼主に指定された場所へ向かう。しかし…この道は見覚えがあるというかありすぎるというか。微かな期待を抱きながら到着したそこは、俺の愛しい人の家だったわけで。

これは一本取られたなとか、嬉しさと少しの照れとか、色んなもんを隠して呼び鈴を押すとすぐにドアが開いた。

「万事屋ですよー」
「銀ちゃん!」
「こんな日に俺を呼び出して何の依頼ですかハニー?」
「とりあえず入って!」

玄関先でいつまでも抱き合っているわけにはいかず、俺は名前に促されるまま部屋へ入った。するとテーブルの上にはところ狭しと豪勢な料理が並んでいて、中心には「銀時 生まれて来てくれてありがとう」と言葉が添えられたケーキなんかもあって、どうしようもなく愛しい。

「おま…これ、お前が全部作ったの?」
「昨日から頑張ったんだよ」
「昨日会えないっつった理由はこれか…」
「本当は誕生日迎える瞬間一緒に居るのもいいかと思ったんだけど…ビックリさせたかったから」
「あぁ、驚いた」

誕生日を迎えて、こんなに嬉しいと思ったのは生まれて初めての経験かもしれない。

「ねーねー名前ちゃん」
「ん?」
「プレゼント、ないの?」

俺が冗談のつもりで言うと、名前は顔をほころばせて俺の手を自分の腹へと持って行った。

「ん?プレゼントは私です、ってか?」
「まぁーあってるっちゃあってるかな」
「どういうこと?」
「来年は三人でお祝いですね」
「マジでか」

忘れられない誕生日になることは間違いなしだな。


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