「もう…行ってしまわれるんですか…?」
「あぁ」
「今度は…いつ、」
「長い戦いになりそうだ。わからねェ」
「どうか…どうか、怪我だけはなさらないで」
「あぁ」
「またここで私はあなたをお待ちしていますから…必ず、戻ってきてください」
「……」
「生きて、」
「…あぁ」
戦場に向かう男の背中を見送るのはこんなにも辛いことなんだろうか、涙は見せまいと思っていたのに次々に涙がこぼれる。…高杉さん、どうか無事に戻って来てください。
この女はいつからこんな顔をするようになったんだろう。昔は笑顔しか見たこと無かったような気がする。それなのに最近じゃ泣き顔しか見てねェような気がする。
こんなところに女一人残していくのは気が引ける。…だが俺には戦わなけりゃいけねェ理由がある。泣いているお前を抱きしめてやることができなくなっても。
今度無事に帰ってこれたら言いたいことがある。…覚悟して待ってろ。
言えない二文字、伝えたい五文字
本当は好きだ
お前を愛してる。
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