今は夜中だ。誰が何と言おうと夜中だ。こんな時間に俺は何をしているのかというと便所に起きただけだ。時間が時間だけにちょっとビビりながら用を足して暖かい布団に戻ろうとしたときである。万事屋の黒電話が鳴り出した。
オイオイ誰だよ全く。こんな非常識な時間に電話なんて掛けてくる奴ァ。…もしかして、もしかするともしかしたりしますか?え?霊的なスタンド的ななんかだったらどうしよう。オイ神楽ー!ちょっと電話!…って起きるわけねェか。…さてどうしたもんか、鳴りやむ気配がねェよ。…出てみるか(怖ェけど)。
「…もしもし」
「も、もしもし!銀時さんでいらっしゃいますでしょうか!」
「は?お前?こんな時間に何、」
「い、いやぁーさ、…なんていうか銀時の声が急に聞きたくなったっていうかなんていうか…」
「珍しいこともあるもんだな。明日は槍とまでは言わねェが雨決定だろ」
「それがもう降ってます。ついでにいうと雷も」
「やっぱり」
「ね、今から会いに行ってもいいですか」
「は?こんな夜中にどうしたってんだよ」
「会いたくなった」
「…雨降ってんのに?」
「だからだろーがよぅ!察してくれよこのやろー!」
「え、なに」
「恥かかすんじゃねェよぅ!こんないい年して雷が怖くて眠れねェんだよチクショー!」
「ふーん…」
「あ、銀時のくせに今私のこと馬鹿にしたでしょ!」
「してないしてない」
「絶対した!」
ビビって損した。電話をかけてきたのは名前で雷が怖くて眠れないんだそうだ。完全にあほだ。言ったら怒るから言わないけどね。
っていうか、雷の音がだいぶ近くなっている気がする。雨もひどくなってきたなー…
「銀時、」
「ん?」
「……やっぱりそっち行ってもいい?」
「雷の中一人で歩いてこれんの?っていうかこんな夜中に女のひとり歩きなんて危ないだろ」
「で、でも!」
「わかったわかった、今から銀さんが…」
ゴロゴロ!−−−ブチッ
「なんちゅータイミング…」
停電だ停電。アイツ絶対泣きべそかいてるだろうな。…ったくしゃーねェ。会いに行ってやるか。
“因みに、只今午前二時です。”
「おーい」
「ぎん、とき…?」
「会いに来てやったぞ」
「!」
「あー…んな抱きついたらお前まで濡れるぞ」
「…いいもん」
「よしよし」
「…ありがとう」
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