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きっと、ちゃんと

さも当たり前のように腰に木刀を差して出て行こうとするあなた。玄関に向かおうとするその大きな背中に黙ってしがみついた。

「銀ちゃん…」
「ん?どうした」

優しく返事をしてくれるその声に涙が止まらない。

「お願いだから…もう行かないで」
「…いくらお前ェの頼みでもそれは聞けねェよ。俺にだって通さなきゃならねェ筋ってもんがある」
「銀ちゃん…っ」
「大丈夫だって、心配すんな」
「だってそう言ってこの前だってあんな…!」
「俺ァいくら傷ついたって構いやしねェよ」
「そんなこと言わないでよ!私がどれだけ心配で…っ」

私がそこまで言うと銀ちゃんは振り向いてギュッと私を抱きしめた。首に顔を埋められたかと思うとチリッとした痛み。一つ二つ三つ――…


「…ってふざけないでよ!!」
「ぐはっ!」
「あのね、今月何回目?意味わかんないんだけど。家で養ってるのは育ち盛りな子供達なわけよ」
「は、はい」
「それをさぁ…通さなきゃいけない筋って何!この間大負けしたから勝つまでやめないつもりってか!?あァ!?」
「…すいません」
「もう家の家計は火の車なの。銀ちゃんがパチンコで使って良いお金なんて一円もないんだからね。今度パチンコ行ったらジャンプ禁止」
「え!」
「今日から禁欲生活してね。もうムカついたからしばらく触んないで」
「…ち、ちなみに、どれくらいでしょうか名前さん」
「三ヶ月」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!どんだけだよ!一週間にまけてくれ!」
「三ヶ月もエッチ無しだったら私も溜まるだろうなー。土方さんにでも相手してもらおうかなー」
「は!?」
「ってわけで。暫くさようなら!お世話になりましたってかお世話しましたー」
「ちょっと待てェェ!」
「なによ」
「俺が悪かった!もうパチンコ行きません真面目に働きます!ジャンプ…は多分我慢できないけどお前がいないと困る!」
「…ふーん」
「禁欲生活は出来ない自信がある!」
「そんな威張って言うことでも無いでしょ」
「俺は名前がいないと生きていけない!」
「…」

元々私もこの人が好きなわけだし、禁欲なんて私自身出来そうにないし…土方さんに抱いてもらうなんて冗談だったのにここまで本気で返されたら私が恥ずかしい。銀ちゃんはきっと本気なんだろうけど。

「名前…」
「抱きしめて良いなんて言ってない」
「頼むから俺の横にいろ」
「…ギャンブルは嫌いだからね」
「はい」
「私のこともちゃんと養ってよね」
「任せなさい」
「ほんとは…ちゃんと好きだからね」
「…俺も」

なんだかんだ言いつつも、私はコイツに弱いらしい。

「一週間ね」
「…何が」
「エッチ禁止」
「…三日にまけて」
「これ以上の譲歩はございません」
「…無理」


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