「あー…しんどい」
「銀ちゃん風邪アルか?なんとかは風邪引かないっていうのは迷信だったみたいネ!ふはははは」
「誰に言われても我慢できるけどお前にだけは言われたくねェー」
「ちょっと神楽ちゃん、移っちゃったら大変だから定春の散歩にでも行っておいでよ」
「銀ちゃんだけずるいネ!私にも冷えピタ貼ってヨ!」
「バーカ、これは病人の特権だ。まぁお前は馬鹿だから風邪ひかねェもんなァいいだろ」
「ちょっと銀さんも張り合わないでくださいよ、一応病人なんだから」
「じゃあこの馬鹿どっか連れてけよ」
「はいはい」
「それとついでに名前に電話してくんね?」
「名前さんに?」
「そーそー。俺が死にそうだって言っといて」
「元気なくせに」
「あーやべぇこれ絶対熱上がったってあーやべぇ」
「はいはい電話してきますから黙って寝てろよコノヤロー。神楽ちゃん行くよ」
「冷えピタぁぁぁぁ」
ふー…やっと行ったか。俺としたことが風邪引いちまった。昨日、珍しく依頼があってさぁーしかも報酬弾むとか言われて行ったらさぁー川に落としたネックレス探せってんだから参ったよねこりゃ。一回受けた仕事だし仕方ないからこの雨でクソ寒い中川に手足突っ込んで頑張ったわけよ。結果コレだけどね。
あぁー早く名前来てくんねェかな。本格的に熱が上がってる気がするんだが…気のせいか?気のせいな気もしてきたけど体ダルいし頭グワングワンするもんなぁー…うえ、気持ち悪くなって来た…あぁついに名前の幻覚まで見えてきちゃったよ。会いてぇな…
「ちょっと、銀さん?」
「あぁ名前の幻覚がぁ」
「幻覚じゃないし本物だし」
「へ?…あぁーマジだ、触れる…スタンドだったらどうしようかと思った」
「スタンドってなによ、ってか手がかなり熱いんですけど大丈夫?」
「んー…」
「ほら、熱計って。新八君がお粥作ってくれてたみたいだから持ってきたけど食べられる?」
「んー…」
「仕方ない、あーんしてあげるから体起こして」
「んー…今日は優しいのな」
「いつもでしょ」
「そうだっけ」
「そうそう、ほら、あーん」
「あーん」
「どう?」
「あんまり味しねェな」
「風邪引いてるんだから仕方ないよ。早く治してね」
「なぁー」
「ん?」
「手握って」
「ベタだね」
「うっせ。お前の手冷たい」
「銀さんの手が熱すぎるのよ」
「なぁー」
「今度は何?」
「チューしていい?」
「え、無理。うつるからヤダ」
「うわ、今ので絶対熱上がったね、今まで優しかったからイケると思ったのにチクショー」
「風邪が治って元気になったらしてあげるから早く治してください」
「わかったよ」
「神楽ちゃんも心配してたみたいだし」
「アイツは冷えピタ貼ってもらいたいだけだ」
「新八君も心配してたよ」
「アイツは俺がこの状態だと自分が大変だから言ってんだろ」
「素直に喜べばいいのに、心配してくれる人がいるのはありがたいことだと思うけどなぁ」
「…お前は心配してくれてんの?」
「心配じゃなかったら態々来ません。早く治してよね、じゃないとチューしてあげられない」
「今からでも良いんだけど」
「うつるからヤダ」
「…そこは譲らないのね」
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