「失礼します、土方さんお茶持ってきました」
「ん?あぁ…サンキュ。っていうかお前今日非番じゃなかったっけ」
「副長さんが休み返上で仕事してるのに女中が休めるわけないじゃないですか」
土方さんが書類を置いている机に湯呑をそっと乗せる。あーあ…こんなに眉間にしわ寄せちゃって。多分また寝てないんだろう。
――グリグリ
「なんだ」
「眉間の皺を伸ばしてあげようと思いまして」
「いらねーよ。ふぁー…眠ィ」
「ちゃんと睡眠とらないと体壊しますよ?」
「総悟の馬鹿に言ってくれや」
この溜まりに溜まった書類は沖田隊長の破壊活動の結果らしい。いつになったらあの破壊衝動は治まるのだろうか…
「そうだ、」
「どうした?」
「少しだけお昼寝しましょうよ」
「は?」
「ちゃんと1時間経ったら起こしますから」
一瞬思案した土方さんだったが私の提案を飲んでくれた。余程眠かったのだろう。私がほら、と自分の腿を叩くと土方さんは意味がわからないといった顔をした。
「膝枕ですよ、ほら」
「…珍しい」
「たまにはいいでしょ?」
「あぁ。じゃあ遠慮なく」
「お礼はキスでいいですよ」
「そんなもんいくらでもしてやらァ」
「……」
「……」
「……」
「…自分で言ったくせに照れんなよ」
「あ、や…その…案外恥ずかしいもんだな、と」
「はは、違いねェ」
恥ずかしさをごまかすように土方さんの髪を撫でるとすぐに寝息が聞こえてきた。そんな姿に安心して私の意識が飛ぶまであと五分―――
「副長〜局長が少し休憩しろって団子を……って余計なお世話だったか」
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