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俺があいつであいつが俺で

(銀さん土方さん入れ替わりネタ)

今日はお妙ちゃんにお願いされてスナックすまいるにヘルプで入っている。毎回毎回一生のお願いと言われ頼まれて入っているのだが……もう何度目だろう。最初の時に今回限りだと思って土方さんに言わずにいたら、なんとなく言いそびれてしまった。真選組の人達がここに来るとわかっている日には絶対入らないようにしているし、まあバレてはいないのだろう。

元々ここが本業ではないし、表立って指名を受けたりすることはほとんどない。事情を知っている銀さんのお席につくことはたまにあるけど。

「銀さん、いらっしゃい」

お妙ちゃんの声がして振り返ると、いつもより何と無く目つきの悪い銀さんが居た。

「お一人ですか?」
「あァ…ちょっとイロイロあってだな。ヤケ酒だ」
「珍しいですね、名前ちゃん呼びますから」
「へ?名前?」
「今回も人出が足りなくてお願いしちゃったんです。真選組の方々には内緒ですからね?名前ちゃーん!こっちお願いね!」
「はーい」

お妙ちゃんに呼ばれて銀さんの隣に腰掛けると、何故か銀さんの目が点になった。

「お前なにしてんだ」
「お妙ちゃんのお手伝いです。あ、いつもお願いしてますけど土方さんには内緒ですからね」
「だからなんで」
「人出が足りないって。まあお妙ちゃんには色々お世話になってるしたまには私がお返ししないと…っていうか銀さん今日は雰囲気違いますね。イメチェン?」
「え、…まあそんなもんだ」

いつもより口数の少ない銀さんも、お酒が入るに連れて少しずつ口数も増えていった。今日の銀さんは何と無く土方さんに似ている。

「お、お前さ…最近どうよ」
「え?」
「ほら、付き合ってんだろ?あいつと」
「銀さんが土方さんの話をするの珍しいですね。んー、順調なのかな…?最近土方さんすごく忙しそうなんです。あんまり構って貰えてなくて。寂しいんですけど私が負担になったらいけないなあーと思うと言えなくて」
「そういうの…ちゃんと伝えた方が良いんじゃねぇェのか」
「ただでさえ悩みが多い人だから、私くらい土方さんが羽を休められる場所にならないと」
「…甘えられた方が男は喜ぶんじゃねェの」
「あの土方さんでも?」
「あの土方さんでも、だ。多分。いや絶対」
「そうですかね…今晩にでもお部屋を訪ねてみようかな」
「!?今日はダメだ!ぜってェダメだ!!」
「急にどうしたんです?」
「今日も明日も…暫くはやめとけ、」
「矛盾してますね」
「なんででもだ!」
「ふふ、今日の銀さん、なんだか土方さんに似てますね」

私の発言で銀さんの動きがピタッと止まった。そして手を握られ、目を見つめられる…え、銀さんどうしたの?何だか土方さんだって錯覚しちゃいそう。

「突然で理解に苦しむかもしれねェが…名前、俺だ」
「銀さん?」
「土方、十四郎、俺だ」

…訳をきくと、かくかくしかじか色々あって、銀さんと土方さんの中身が入れ替わってしまったそうだ。嫌な汗が背中を伝う。

「いやいやいや」
「マジだから信じろってんだ。お前なにこんなとこでバイトしてんだよ?あァ?俺の知らない所で違う男に酌してるたァ俺も舐められたもんだな」
「す、すみません!」
「今屯所にいる土方十四郎は中身が万事屋の土方十四郎なんだが、お前何もされてねェだろうな」

えーっと今朝…キスした、かも、というかしたよバッチリ。

「だって!中身が違う人とか思うわけないじゃん!」
「ハァ……信じらんねェ」
「私だってそうだよ!」
「あー、ムカつくからめちゃくちゃに抱きてェ。しかし…万事屋の体だしな…はぁ…」
「土方さん…バイトの件とキスの件、ごめんなさい。でもキスは一回だけだから」
「それ以上があったら万事屋殺す」
「土方さんこそ…銀さんの体に入ってから女の人に迫られたりしてないですよね?」
「…………ねェよ」
「間があった!おかしい!浮気、」
「ねェよ!勝手に言い寄られることはあってもキスなんかしてねェしな!」
「ほら言い寄られてる…それにあのキスは」
「あーダメだダメだ、もう辞めにしよう。こんなこと言いにきたわけじゃねェんだ元々。とりあえず今日は帰るから。多分暫くしたら元に戻れっから、そんとき抱かせろよ」
「…」
「んな顔すんな、もう…怒ってねェから」
「嘘だ」
「腹は立つが…仕方ねェこともあるしよ…今日はお前の本音も聞けたし、」
「本音?」
「俺はいくら疲れててもお前の顔見たらふっとぶんだよ。遠慮なんかしてないで素直に甘えてこいよ」
「あ…はい」
「あとな、ここのバイトは今回限りだ。お前は俺にだけ酌してりゃいい」
「はい」

あー、なんか色々とやらかしてしまった感が満載だ。これからバイト出来なくなるなぁ。

「勘定は万事屋につけといてくれ」
「え?いいんですか」
「お前とキスした罰だ」


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