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「朝は晴れ間が広がりますが急な夕立にご注意くださーい!」
いつも通りの笑顔とテンションで結野アナがそう言っていたので、私はタバコを買いに行くと言った副長に雨降るらしいと注意したのに、副長は私を無視してタバコを買いに行ってしまった。
そして結局のところ、外は土砂降りである。
「あー副長完全に雨宿り決定だなこりゃ」
「山崎、私ちゃんと副長に注意してあげたんだよ」
「今回は副長が悪いね」
「副長が風邪引いちゃったらどうしようかな…」
山崎がなんとかは風邪引かないって言うよ、って言いやがったのでミントンのラケットをグニャリと曲げてやった。副長はバカではない。
しばらく空を見上げていたが雨が止む様子はなく私は副長のお迎えに行くことにした。どうせあのタバコ屋さんにいるだろう。
(ほら、)
「副長〜!」
「名前?なにしてんだこんなところで」
「雨に降られて帰って来られないであろう副長をお迎えに参りました!」
「その割にお前…自分の傘一本しか持ってねェな」
「あ、」
「…ったく」
「ちょっと屯所まで副長の傘取りに行ってきます!待っててくださいね!」
走りだそうとした時、副長にグイ、と腕を引かれた。
「まあ待て、時間の無駄だろ。それに…二人入れないこともねェしな」
「ふ、副長!?これはもしや相合いg…ぶべら!」
「言うな」
「んふふ」
さりげなく傘を持ってくれて、さりげなく傘を私の方に傾けてくれる副長にキュン。
「副長、肩濡れてる」
「こんぐらい平気だ」
「風邪引きますよ」
「大丈夫だっつってんだろ。しつけーな」
「あ、山崎がなんとかは風邪引かないっていうから副長は大丈夫だって言ってた」
「あいつはよっぽど俺に殺されたいらしいな」
「(ゾク…!)あれ、なんか悪寒が……」
「ザキどうかしたのかィ」
「いえ…」
鬱陶しいこの雨も、副長と一緒なら嫌じゃないから不思議なものだ。もちろん山崎は副長にしめられました。